日本大百科全書(ニッポニカ) 「おから」の意味・わかりやすい解説
おから
豆腐をつくる際、豆乳を絞った残りかすの部分をいう。おからの「から」は、絞りとった残りの状態からついた名である。卯(う)の花あるいは雪花菜(きらず)ともいう。卯の花は、生け垣などに植えられているウノハナに形状が似ているところから、雪花菜は、包丁で切らなくてもよい、つまり「切らず」ということばに雪のような感じを表す字をあてた名で、いずれもおからという絞りかすを表す名称を隠すためである。歴史的には、豆腐製造とともにあったといってよい。栄養的には、不消化性の食物繊維が多いが、大豆中の油、ビタミンB1、タンパク質、糖質なども一部残っている。直接食用にするほか、以前には家畜の飼料にした。とくに乳牛の飼料にすると、搾乳量が増えるので飼料価値が高かった。
おからは、そのままでは味がほとんどなく、かさかさしているので、料理の際は、植物油を使用してこくを出す。料理には、卯の花炒(い)り、卯の花和(あ)え、卯の花汁、卯の花ずしなどがあり、各地の郷土料理のなかに、おからを使ったものが多い。卯の花炒りは、おからをごま油でざっと炒(いた)め、細く切ってしょうゆ味で甘辛く味つけした油揚げ、ニンジン、ネギとあわせる。卯の花汁は、塩ザケ、塩ブリ、ダイコン、ニンジン、こんにゃく、油揚げを煮た汁に、白みそとおからを濃度がつく程度まで加えてつくる。卯の花ずしは、おからを裏漉(うらご)しして、だし汁、塩、砂糖を加えて炒りつけ、酢を加えて冷ましたものをすし飯がわりにして、コハダ、小アジ、イワシなどの酢でしめたものをのせ、握ったものである。
[河野友美・山口米子]