雛壇（読み）ヒナダン

デジタル大辞泉

ひな‐だん【^×雛壇／^×雛段】

１ 雛祭りに、雛人形や調度品などを並べて飾る壇。雛棚。《季 春》「―に桃ちりかかる四日かな／綺堂」
２ 歌舞伎の大道具の一。舞踊劇のとき、長唄と囃子はやしの演奏者が座る二段の台。上段に長唄連中、下段に囃子方が座る。→山台やまだい
３ 歌舞伎劇場の一階見物席で、東西の桟敷と、その前の高土間などのこと。緋毛氈ひもうせんを敷き、平土間より一段ずつ高くなっていたのでいう。
４ 会場などで一段高く設けられている座席。特に、国会の本会議場で大臣席などをいう。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ひな‐だん【雛壇・雛段】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ＝ひなだな（雛棚）①《 季語・春 》
   1. [初出の実例]「雛だんの猫鵺ほどに嫁さわぎ」(出典：雑俳・柳多留‐八八（1825）)
3. ② 歌舞伎の大道具の一つ。舞踏劇で、長唄や常磐津、清元などの演奏者がすわって演奏する、二段になった台のこと。長唄では、上段に唄い手と三味線、下段には笛・太鼓・小鼓・大鼓が座を占める。
   1. [初出の実例]「と雛段(ヒナダン)に長唄囃子連中、烏帽子素袍にて居並び」(出典：歌舞伎・連獅子（1861）)
4. ③ ( ①のように赤い毛氈(もうせん)を敷き、平土間より一段ずつ高くなっているところから ) 枡席のある歌舞伎劇場で、東西の桟敷(さじき)と、その前の高土間などをいう。
5. ④ 国会の本会議場で、大臣席などの俗称。
6. ⑤ 人などが並んだり座ったりするために、①のように階段状に作られた場所。
   1. [初出の実例]「さきには人気の焦点であった此の赤い雛壇(ヒナダン)が能登守の姿を現はしたことによって其の人気を奪はれてしまひました」(出典：大菩薩峠（1913‐41）〈中里介山〉お銀様の巻)

出典　精選版 日本国語大辞典