雛形本(読み)ひながたぼん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雛形本
ひながたぼん

小さくかたどった模型や図案を集めた見本帳のことで,おもに江戸時代から明治にかけての建築指物染織などの分野にみられる。なかでも最も多いのは,染織関係の小袖類の柄見本帳で,これらはひなかた,ひいなかた,雛形などと呼ばれて雛形本を代表するものとなっており,別に衣裳雛形,文様雛形,小袖文様雛形などの呼称もある。これらは当時の日本における服飾流行,とりわけその文様や加工法などを知るための資料として重要視されており,いわば洋装でのファッションブックにあたる。寛文6 (1666) 年の「新撰御ひいなかた」に始って文政3 (1820) 年の「万歳ひいなかた」まで約 120~130種にも及ぶといわれ,和紙を袋綴りにして1頁に1図,両袖を広げた小袖の背面図に文様を,墨1色の木板刷りにしたものがほとんどである。

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世界大百科事典 第2版の解説

ひながたぼん【雛形本】

建築を作る上の技術あるいは意匠の手本などを内容とする江戸時代の木版本。雛形とは実物をかたどって小さく表現したもので,模型や手本もそのひとつである。文章で説明するよりわかりやすいことから設計上の手本として使われ,後に技術の図解や意匠見本も雛形と呼ばれるようになった。1655年(明暦1)の《新篇雛形》は古い例で,特に江戸中期以降多数出版された。書院造の座敷の違棚の意匠見本である棚雛形,数寄屋造の意匠を示す数寄屋雛形,部材の比例を示す木割,あるいは立体幾何学を応用した部材の組立て方法の規矩,大工の技術を図解した大工雛形など多種類に及び,大工技術の伝達および普及,建築の建て主の意匠の選択などに大きな役割を果たした。

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