( [ 一 ]について ) ( 1 )挙例の「拾遺集」以後勅撰集にしばしば見られ、平安中期から中世にかけてよく詠まれた歌枕といえる。その中で、挙例の「千載集」は、百人一首に採られ、後世の「難波江」のイメージの一つを形作る。
( 2 )建保三年(一二一五)一〇月二四日「名所百首」では夏の季節に分類されているが、もともと好んで詠まれた季節は春だった。ところが「津の国の難波の春は夢なれやあしの枯葉に風渡るなり〈西行〉」〔新古今‐冬〕などによって春から冬へ移行し、さらに「難波江の草葉にすだく蛍をば葦間の舟のかがりとや見ん〈藤原公実〉」〔堀河百首‐夏〕あたりから夏の蛍がよく詠まれる場所となる。
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