雲鑼(読み)ウンラ(その他表記)yún luó

デジタル大辞泉 「雲鑼」の意味・読み・例文・類語

うん‐ら【雲×鑼】

中国打楽器の一。縦横に3個ずつ、最上列中央の上にさらに1個、計10個のかねを木架の枠の中につり、木製小槌こづちで打ち鳴らすもの。明楽みんがく清楽しんがくに用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「雲鑼」の意味・読み・例文・類語

うん‐ら【雲鑼】

  1. 〘 名詞 〙 中国近代の打楽器。一〇個の鉦(かね)を格子形の木枠の中につったもので、木製の小槌(こづち)で打ち鳴らす。日本では明清楽(みんしんがく)に用いる。雲璈(うんごう)
    1. 雲鑼
      雲鑼
    2. [初出の実例]「雲鑼(ウンラ)は十個の銅鼓より成りたるものにて是又本邦にて用ゆる(チャンギリ)と云ふものに類似し木琴を打つもの側に建て置き時々拍子間に鳴らすなり」(出典風俗画報‐一〇四号(1895)遊芸門)

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改訂新版 世界大百科事典 「雲鑼」の意味・わかりやすい解説

雲鑼 (うんら)
yún luó

東アジアの金属の打楽器。十面鑼,九音鑼ともいう。中国元代では雲(うんごう)と呼ばれ,13面の小鑼円形の平たい盤)から成っていた。現在では,大きさは同じだが厚みの異なる10面の小鑼を音高の順に木製の枠につり,木槌で打奏する。枠の下部に短い柄をつけたものと,台をつけたものと2種類がある。独奏合奏戯曲音楽に用いられる。朝鮮では李朝後期に吹打に用い,蒙古ではラマ教音楽,日本では明清(みんしん)楽に用いた。中国では29面,30面等の改良楽器も作られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雲鑼」の意味・わかりやすい解説

雲鑼
うんら
yun-luo

中国の打楽器。日本でも明楽 (みんがく) に用いた。銅製で皿状の鑼を 10個,木の枠に吊り,木製の槌で打ち鳴らす。各鑼は定められた音高をもっており,旋律を奏することができる。鑼の数や,木枠の形には変形がある。

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世界大百科事典(旧版)内の雲鑼の言及

【銅鑼】より

…古くは西域楽や軍楽に用いられたが,のちに戯劇の合奏に用いられるようになった。中国,朝鮮の雲鑼(うんら)は,銅製の小鑼を十数個枠につるしたもの。日本の銅鑼(度鑼)は,中国から仏寺に伝わった鑼が広まったといわれ,仏教音楽で用いるものを特に鐃(によう)と呼ぶ。…

※「雲鑼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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