雷酸(読み)ライサンエン(英語表記)fulminic acid

化学辞典 第2版 「雷酸」の解説

雷酸(塩)
ライサンエン
fulminic acid(fulminate)

酸:HONC(43.03).シアン酸異性体一つ.純物質は単離できないが,溶液は得られる.HgやAgの塩と強酸との反応や,Na塩と冷希硫酸を反応させ,エーテルで抽出すると得られる.溶液としてのみ短時間保存できる.H-O-N≡Cと考えられる.不安定で,溶液中でもすみやかに分解,または重合する.強酸で,特異臭があり,有毒.[CAS 506-85-4] 
塩:Hg塩.そのほか,アルカリ金属,アルカリ土類金属,Cu,Ag,Zn,Cd,Pbなどの塩が得られている.各金属またはそのアマルガム雷酸水銀のメタノール溶液とふりまぜて反応させるか,ニトロメタンのアルカリ金属塩と,各金属の塩化物とを反応させると得られる.すべて爆発性である.例;雷酸銀(silver fulminate)AgONC(149.89)は,AgNO3の硝酸溶液にエタノールを反応させると得られる.密度4.09 g cm-3.爆発性がある.熱水,アンモニア水に可溶,硝酸には不溶.[別用語参照]雷酸水銀

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改訂新版 世界大百科事典 「雷酸」の意味・わかりやすい解説

雷酸 (らいさん)
fulminic acid

化学式HOCN。シアン酸の異性体の一つで,HO-N⁺≡C⁻の構造をもつと考えられている。強酸の性質を示すが,きわめて不安定で,酸解離定数などは不明。エーテルに可溶。雷酸塩を強酸で分解すれば得られるが,分解しやすく,容易に重合する。シアン化水素に似たにおいがあり有毒。雷酸塩として金,銀,水銀などの重金属塩はよく知られており,これらは爆発性に富んでいる。このうち雷酸水銀(Ⅱ)Hg(ONC)2雷汞(らいこう)と呼ばれ,爆薬として用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雷酸」の意味・わかりやすい解説

雷酸
らいさん
fulminic acid

シアン酸HOCNの異性体の一つ。化学式HONC、式量43.0。水銀塩や銀塩は古くから知られている。塩を強酸で分解すれば水溶液として遊離の酸が得られるが、きわめて不安定で、すぐに重合する。純粋なものは得られにくい。シアン化水素のようなにおいがして有毒。銀塩、水銀塩などが加熱衝撃摩擦などによって激しく爆発する。

[守永健一・中原勝儼]

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百科事典マイペディア 「雷酸」の意味・わかりやすい解説

雷酸【らいさん】

化学式はHONC。シアン酸HOCNの異性体。構造式はHO−N(+/)≡C(-/)。遊離の酸は不安定で重合しやすい。有毒。水銀塩(雷汞(らいこう)),銀塩は爆発性がある。

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