アマルガム(読み)あまるがむ(英語表記)amalgam

翻訳|amalgam

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマルガム」の意味・わかりやすい解説

アマルガム
あまるがむ
amalgam

水銀と他の金属との合金。「柔らかいもの」というギリシア語に由来する。普通は柔らかい糊(のり)状の固体であるが、水銀の分量が多ければ液状となる。タリウムカドミウム、鉛などの低融点金属は水銀によく溶解するので、一般にアマルガムという場合にはこれらの合金をさす場合が多い。銀スズ合金のアマルガムは歯科用充填(じゅうてん)材として広く用いられているが、近年その使用量は減少傾向にある。鉛、ビスマス、スズのアマルガムは鏡面製造に利用される。なお、アマルガムは加熱すると水銀が揮発放出されて合金元素が残るので、これを利用して金属の製錬(アマルガム製錬)に利用されることがある。「同化する」という英語amalgamateはこれに由来する。

[及川 洪・三島良續]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマルガム」の意味・わかりやすい解説

アマルガム
amalgam

水銀と他金属との合金。カドミウム,鉛などの低融点金属はよく水銀に溶け,金,銀,銅もある程度は溶けるが,鉄,ニッケルなどの高融点金属はアマルガムをつくらない。水銀の多いアマルガムは軟らかく,語源はギリシア語の málagma (軟膏) といわれている。銅像などに軟らかい金アマルガムを塗り,加熱して水銀を蒸発させると金メッキになり,また鉱石中の金を水銀で抽出することもできる混汞法 (こんこうほう) などの技法は古代エジプト王朝時代から知られていた。いまも銀-スズのアマルガムは歯科用充填材に,また鉛,スズ,ビスマスのアマルガムは鏡面製作に用いられる。

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