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雷酸水銀 らいさんすいぎんmercury fulminate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雷酸水銀
らいさんすいぎん
mercury fulminate

起爆薬として用いられる化合物。1価 Hg2(ONC)2 と2価 Hg(ONC)2 とがあり,一般には2価の化合物をさし,雷汞 (らいこう) ともいう。ともに爆発しやすい。工業用雷管などに用いられたが,現在では使用されていない。チオ硫酸ナトリウムは雷汞を分解するので,雷酸水銀の定量,廃棄に用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

らいさん‐すいぎん【雷酸水銀】

雷酸HONCと水銀との塩。古くから知られ、爆発しやすく、雷酸水銀(Ⅱ)は雷汞(らいこう)とよばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雷酸水銀
らいさんすいぎん
mercury fulminate

シアン酸塩の異性体。一価および二価水銀の化合物が知られている。
(1)雷酸水銀() 雷酸水銀()を製造するとき温度を低くして(45~55℃)反応させると得られる。化学式Hg2(ONC)2、式量485.26。淡青白色。雷酸水銀()よりも水に溶けやすく、同じように爆発しやすい。
(2)雷酸水銀() 爆薬としてよく知られ、雷汞(らいこう)とよばれる。古くは各種雷管の点火、点爆薬として広く用いられていたが、最近ではジアゾジニトロフェノールなどがかわりに使われ、雷汞は使われなくなっている。硝酸水銀()の硝酸溶液とエタノール(エチルアルコール)とを大きい反応容器内で反応させると、激しい反応がおこり、複雑な反応ののち結晶として析出する。無色針状晶。比重4.42。冷水に難溶、熱水、エタノール、アンモニア水に溶ける。乾燥したものは、きわめてわずかな摩擦あるいは衝撃によって爆発する。このときの反応は、
  Hg(ONC)2→Hg+N2+2CO
であって、爆発熱は1グラム当り409カロリーである。しかし1平方センチメートル当り600キログラム以上に強く圧搾すると死圧現象(ある程度以上の圧力をかけると爆発しなくなる現象)をおこし、点火しただけでは爆発しなくなる。雷汞の発火温度は170~180℃であるが、100℃以下の温度で長時間加熱すると分解して、帯黄色、非爆発性物質に変わる。水を含んでいるとすこしの外力では爆発しない。また水中に貯蔵するが長い間には分解する。チオ硫酸ナトリウムにより分解するので、これは雷汞の定量分析あるいは廃棄に利用される。
 Hg(ONC)2+2Na2S2O3+H2O→
  HgS4O6+2NaOH+NaCN+NaOCN
 金属容器内に圧搾して点火薬として(点火用雷管)、また点爆薬として工業雷管、電気雷管、雷汞雷管などに用いられていた。有毒。[中原勝儼]

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世界大百科事典内の雷酸水銀の言及

【雷汞】より

…雷酸水銀(II)Hg(ONC)2の慣用名。A.B.ノーベルの発明した雷管に起爆薬として用いられた。…

※「雷酸水銀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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