電子ブック(読み)デンシブック

デジタル大辞泉 「電子ブック」の意味・読み・例文・類語

でんし‐ブック【電子ブック】

electronic book》8センチCD-ROMを用いて、特定規格で主に文字情報を収めた出版物ソニー中心となって規格を策定専用の再生機である電子ブックプレーヤーで表示する。EB
[補説]電子化された書籍データ全般をさす語としては、多く電子書籍が用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子ブック」の意味・わかりやすい解説

電子ブック
でんしぶっく

ソニーが中心となって開発された、電子書籍の規格の一つ。電子辞書の標準フォーマットであるEPWINGとは互換性はない。言語や地域、拡張機能の違いなどにより、EB、EBXA、S-EBXAなどいくつかの仕様がある。文字や画像などのデータを提供するメディアとして、直径8センチメートルのCD-ROMを利用し、それを専用キャディ(ケース)に収めたもの。電子ブック用の端末としては、1990年代にソニーから発売された「データディスクマン」が最初で、液晶とCD-ROMプレーヤーを備えた形態であった。また、パーソナルコンピュータパソコン)からも、専用アプリケーションをインストールすることで読むことができた。販売された電子ブックは、百科事典や辞書をはじめ、学習用や趣味向けなど多岐にわたったが、どちらかというと今日の電子辞書的なコンテンツが多かった。

 松下電器産業(現パナソニック)や三洋電機からも電子ブックプレーヤーが発売されたが、のちに撤退、ソニーも電子ブックプレーヤーの販売を2000年(平成12)で終了した。その後のソニーの電子書籍関連の取り組みとしては、2004年に表示方法に電子ペーパーを採用したリブリエを発売したが、2007年に端末の生産を、2008年にコンテンツ販売を終了した。2010年には、やはり電子ペーパーによる表示を行うReader(リーダー)を発表している。Readerは、2006年のアメリカを最初に、ヨーロッパオーストラリアなどで先行販売されていた。なお、電子書籍一般を電子ブックと称することもある。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「電子ブック」の意味・わかりやすい解説

電子ブック【でんしブック】

CD-ROMに記録されたテキスト情報を検索するための電子出版規格をさす。その後,デジタル技術の進展と書籍のデジタル化の普及,インターネットの爆発的普及や携帯電話や携帯端末の技術革新によって,デジタルブックなどともに,広く電子書籍を読むためのハードウエアとしての意味で用いられるようになり,さらに今日では電子ブックリーダーという呼称が普及している。この意味でもっとも早く定着した電子ブックは,電子辞書である。2000年代後半には,第3世代携帯電話の登場で多機能化が急速に進展した携帯電話や,携帯端末の高性能化をふまえ,2007年,インターネット書店最大手のアマゾンが発売したキンドルをはじめ,ダウンロードで電子ブックリーダーにデジタルコンテンツを配信する方式が次第に広がった。2007年にアップルが発売したiPhoneなどの携帯電話や,同じくアップルが2010年に発売した,携帯端末iPadなど,電子ブックリーダー的な機能を持つタブレット端末が充実し,電子書籍は明らかに爆発的普及の段階に入っている。他方デジタルコンテンツも拡充しつつあることから,電子ブックが本格的にブレークする状況が出現している。近年は電子ブックよりも電子書籍といういいかたが一般的になっている。
→関連項目電子書籍

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「電子ブック」の解説

電子ブック

CD-ROMなどのメディアで配布される、文章を中心とした電子出版物のこと。または、直径8cm(音楽のシングルCDサイズ)のCD-ROMに文字や画像、音声のデータを収録した電子出版物の規格のことを指す。デジタルブックとも呼ばれる。主に、専用の電子ブックビューアで読めるが、専用のソフトを使えば、パソコンでも読める。

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