電子ペーパー(読み)デンシペーパー(その他表記)electronic paper

翻訳|electronic paper

デジタル大辞泉 「電子ペーパー」の意味・読み・例文・類語

でんし‐ペーパー【電子ペーパー】

electronic paper》紙のように薄い、柔らかい素材でできた超薄型ディスプレー技術の一。デジタルペーパー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子ペーパー」の意味・わかりやすい解説

電子ペーパー
でんしぺーぱー
electronic paper

電気によって文字や絵を表示できる、紙のように薄いフレキシブルな媒体。通信機能と組み合わせると持ち歩きして最新のニュースが読める電子新聞や週刊誌が可能となる。使用中は常時電力がいる携帯機器に対して、電子ペーパーは書き換えるときだけしか電気を必要としない。これらの条件を満たすための原理として電気泳動を利用するアイデアは、1969年(昭和44)に日本人により出されたものであるが、アメリカのマサチューセッツ工科大学MIT)によるマイクロカプセル化のアイデアを用いて、Eインク社がカーボン(黒)と酸化チタン(白)粒子を敷きつめた微細カプセル内の絶縁液中に封じ、外部電界で泳動させ白黒パターンや文字を描かせる方式を開発した。これを2004年(平成16)に日本のソニー社が電子書籍端末として商品化を試み、続いて2007年にアメリカのアマゾン社が「キンドルKindle」の名称で販売を始めた。主として電子書籍用であるが、アメリカでは電子ペーパーによる端末が普及し始めた。さらに、カード類、駅構内などの電子ポスター、スーパーマーケットなどの値札や電子新聞などにも、タブレット端末とも共存した普及が期待されている。

 2015年時点では実用化はされていないが、電子ペーパーの表示方式として多くのアイデアが提唱されている。1970年代にアメリカのゼロックス社が開発した、白黒半分に塗り分けられた微細球体を穴列に並べ外部の電界で回転させてパターンを描かせるツイストボール方式のジリコンGyriconや、日本で2006年から開発中の、マイクロカプセル内に高分子を主とする電子粉を封入して応答速度の高速化を図った電気泳動利用の電子粉流体方式などがある。

[岩田倫典 2015年4月17日]

『面谷信著『紙への挑戦 電子ペーパー――情報世界を変えるメディア』(2003・森北出版)』『面谷信監修、面谷信・水越伸他著『新聞の未来を展望する――電子ペーパーは救世主となれるか』(2006・新聞通信調査会)』

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図書館情報学用語辞典 第5版 「電子ペーパー」の解説

電子ペーパー

紙と同様の薄さ,柔軟性視野角の広さ,解像度の高さ,取扱いの簡便さなどの特質を有しながら,紙とは異なり,表示内容を瞬時に変更可能な電子的表示装置.研究は1970年代から始まり,電気泳動方式や液晶方式など,各種の表示方式が考案された.さしあたっては一枚ものの形態で,街頭の広告や電子書籍用の端末といった方面で応用され,冊子体図書の代替とはなっていないが,電子ペーパー技術の発展が,電子媒体と紙媒体との関係を大きく変える可能性がある.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

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