電動機でファンを回転させて真空状態をつくり,塵芥(じんかい)を吸収する道具。真空掃除機ともいう。ふいごを用いてほこりを吹きとばしたり吸引したりするものはいろいろ試みられていたが,1901年にイギリスの橋梁(きようりよう)技師H.ブースが布をフィルターに用いて吸着する方式を確立し,馬車にのせるような大型装置を開発した。使用の際は窓からホースを引き込んだ。同じころアメリカでも多くの考案がなされ,小型化したのは06年ごろで,20年前後にはかなり普及した。日本では1931年に国産化されたが,一般家庭で使われるようになったのは第2次大戦後である。60年には生産台数が100万台を超え,じゅうたんや洋風家具を取り入れた生活や,中高層の集合住宅の出現が普及を促した。67年,吸塵力の指標として吸込み仕事率のJIS規格の表示が規定された。
執筆者:徳村 薫
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