電波による船舶や航空機の航行援助施設。ここでは船舶の電波標識について解説する。電波航路標識ともいう。航路標識を光波標識、音波標識などと分類する場合に用いられる用語で、次の各種がある。
[川本文彦]
無線方向探知局と無線標識局の二つがある。無線方向探知局は、船舶から発射する電波の方向を陸上の固定局で測定し、その結果を船舶に通報することを業務とする。方位測定精度が高い利点があったが、測定依頼のめんどうなどのため、日本では1968年(昭和43)に廃止された。無線標識局は、船舶自身に方位を測定させるための標識電波を発射する局で、無線方位測定機を装備している船舶のために定時に中波の無指向性電波を発射する局と、中波またはマイクロ波受信機さえあれば局の方位が測定できるように、指向性電波を一定速度で回転させながら発射する局の二通りがある。
このほか、マイクロ波を用いて狭い出入港航路や礁間航路を示すコースビーコン、船のレーダー波に応答して、送信局の方位や位置を輝線符号で船のレーダー映像面に表すための電波を発射するレーマークビーコン、レーダービーコンなどがある。
[川本文彦]
船のロラン受信機で2局からの電波の到達時間差を測定し、船位を求めるための中短波のパルス波を発射する施設で、300海里前後離れて設置された2局で一組局を形成する。北部・中部太平洋、北部大西洋で利用できるように局が配置され、日本の海岸に沿っては10組局が設置されている。
[川本文彦]
船のデッカ受信機により、2局からの電波の位相差を測定して船位を求めるための、長波の持続波を発射する施設。原則として1主局と3従局が1チェーンを形成し、それぞれ100海里前後離れて設置されている。ヨーロッパが主であるがアメリカ、カナダ、ペルシア湾、インド、日本などでも使われ、日本では北海道、東北、関東、北陸、四国、北九州の6チェーンが設置、運用されている。
[川本文彦]
船のオメガ受信機により、2局からの電波の位相差を測って船位を求めるための電波を発射する施設である。超長波(10キロヘルツ)長基線(約5000海里)の遠距離航行援助方式で、全世界を8局でカバーしており、その1局は日本の対馬(つしま)にある。
[川本文彦]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…海上交通の激しい港の入口,狭水道,暗礁や浅瀬の多い沿岸航路付近などにおいて,その危険な場所を示したり,船が自分の位置を確かめたり,あるいは航路を指示するために設けられる人為的な施設。灯光,形象,彩色,音響,電波などを利用しており,種類としては夜標,昼標,霧信号所,電波標識などがある。灯台も航路標識の一種で,夜標の代表的なものである。…
※「電波標識」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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