電気を利用した加熱調理器の一種。加熱源として、コイルで発生させた磁力線を用い、鉄製の鍋(なべ)、フライパンなどの底部を発熱させる誘導加熱方式induction heating(IH)で加熱調理を行う器具。IHクッキングヒーター、IH調理器ともいう。日本では1974年(昭和49)3月、三菱(みつびし)電機が商用周波数を利用する電磁調理器を発売、続いて、高周波を利用する電磁調理器が同年8月に松下電器産業(現、パナソニック)から発売された。
原理的には、コイルに電気を通し、磁力線を発生させ、これが鉄などの金属板を通ると、その部分に渦電流が生じ、この渦電流のジュール熱損により発熱する。これが電磁調理器の発熱源となる。つまり、調理器具そのものが発熱源となり、電磁調理器自体は調理器具より伝わってくる熱によってしか熱くならない。
実際には、コイルを内蔵した扁平な箱型の台上にセラミック板を張り、この上に鉄あるいはステンレス製の調理器具をのせ、電源より電流を通すことで加熱できる。また、発生する磁力線の量をコントロールすることで、発熱量が加減できる。温度センサーがあり、器種により異なるが、油の発火点以下で電源が切れるようになっている。また、鍋などの底部以外は発熱しないし、炎やヒーターのような高熱部がないので、たいへん安全性の高い加熱調理器である。また、熱効率も、都市ガス40%、LPガス40%、電気こんろ52%に対し、電磁調理器70%とたいへんよい。
一方、アルミ、銅、ガラス、陶器などの器具では加熱ができない欠点がある。
[河野友美・山口米子]
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