震災恐慌(読み)しんさいきょうこう

旺文社日本史事典 三訂版 「震災恐慌」の解説

震災恐慌
しんさいきょうこう

1923年,関東大震災による恐慌
第一次世界大戦後の恐慌からの回復も不十分のまま,震災にみまわれた日本経済は大打撃をうけ,復興資材の輸入超過で外貨負担は増大した。政府は救済融資のため公債を発行し,その額は1926年には51億円に激増しインフレが続いた。また支払猶予令モラトリアム)・震災手形補償などで事態収拾に努力したが,不景気はおさまらず,金融恐慌へ続いていった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「震災恐慌」の解説

震災恐慌
しんさいきょうこう

1923年(大正12)9月1日の関東大震災を契機に発生した恐慌。震災は60億円以上の被害をもたらし,工場・店舗・商品が焼失した。政府は支払猶予令・震災手形割引損失補償令・臨時物資供給令を公布して対策に努め,日本銀行も震災手形の割引などによる特別融通を展開した。しかし,震災手形の回収は遅々として進まず,1927年(昭和2)に勃発した金融恐慌の原因となった。

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世界大百科事典(旧版)内の震災恐慌の言及

【恐慌】より

…こうした相つぐ救済政策の展開は,財界の整理を遅らせて不健全な企業を存続させることになり,日本経済の国際競争力を弱め不況を長期化させる原因となった。その矛盾は23年のいわゆる震災恐慌(関東大震災による日本経済中枢部の混乱と麻痺状態)を経て,やがて27年の金融恐慌となって爆発する。台湾銀行の休業と新興財閥鈴木商店の破産まで結果したこの恐慌の直接の誘因は,震災直後救済対象として認定した手形(震災手形)の整理問題にあったが,根本原因は反動恐慌後の救済政策によって未整理のまま存続した銀行と産業企業との不健全な信用関係に存在していたからである。…

※「震災恐慌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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