非蔵人(読み)ヒクロウド

デジタル大辞泉 「非蔵人」の意味・読み・例文・類語

ひ‐くろうど〔‐くらうど〕【非人】

平安時代蔵人所くろうどどころに所属する官職の一。良家の子で六位の者から選ばれ、蔵人に準じて昇殿を許されて、殿上雑用を勤めた者。非職ひしきの者。
江戸時代賀茂松尾稲荷いなりなどの神職の家や家筋のよい家から選ばれ、無位無官宮中の雑用を勤めた者。

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精選版 日本国語大辞典 「非蔵人」の意味・読み・例文・類語

ひ‐くろうど‥くらうど【非蔵人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 平安以来蔵人所の職員。良家の子で六位になっている者からえらばれ、昇殿を許されて蔵人の下で宮中の雑用を務めるもの。四人ないし五・六人が補任された。院庁、東宮にも置かれた。非職(ひしき)の者。
    1. [初出の実例]「乍所雑色、非蔵人等件人事」(出典御堂関白記‐寛弘四年(1007)正月一三日)
  3. 江戸時代、賀茂・松尾・稲荷(いなり)の神職の家柄などで宮中へ伺候した者。往古女孺(にょじゅ)の代わりを勤め、蔵人の袍を着用して非蔵人と称し、その数二〇〇人に及ぶこともあって朝廷を煩わした。

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世界大百科事典(旧版)内の非蔵人の言及

【蔵人所】より

…供御物貢進の体制は,その後11世紀後半以降再び大きく改革され,中世的な御厨と供御人(くごにん)の体制が成立するが,蔵人所はひきつづき供御人に対する裁判権を掌握し,その本家的な存在として,彼らの活動を保護する一方で,彼らの奉仕による収入を重要な経済基盤とした。
[蔵人所の職員]
 蔵人所には別当,蔵人頭,蔵人,非蔵人,雑色(ぞうしき),所衆,出納,小舎人(こどねり),滝口鷹飼等の職員が置かれた。別当(1名)は蔵人所の総裁である。…

※「非蔵人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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