蔵人(読み)くろうど

精選版 日本国語大辞典「蔵人」の解説

くろ‐うど くらうど【蔵人】

蔵人所(くろうどどころ)職員。大同五年(八一〇)三月、蔵人の頭(とう)とともに令外(りょうげ)の官として設けられた。のち定員八名。仁和四年(八八八)一一月、位階と職掌を連結させて五位のもの二名、六位のもの六名に分け、叙留(位だけ上げ官職をそのままにしておくこと)を認めず、それぞれ「五位の蔵人」「六位の蔵人」と称する。また六位で昇殿を許されて蔵人にならない者を「非蔵人(ひくろうど)」とよぶ。院の御所、摂関家にもこれにならって蔵人を設置した。なお江戸時代、賀茂、稲荷などの社家より召し出されて、宮中の雑役に奉仕したものも蔵人とよぶが、性質を異にする。唐名は侍中。くらんど。くらにん。くらひと。
※九暦‐九暦抄・天暦元年(947)正月二三日「内宴、参内、殿上装束頗違去六年例、仍示蔵人改」
② 宮中で命婦(みょうぶ)に次ぐ地位の女官。雑事をつとめる。女蔵人(にょくろうど)
※宇津保(970‐999頃)吹上上「よきむすめ一人ありければ、内のくら人つかうまつりけるが」
③ 奈良・平安時代、宮中の諸寮司において、蔵(くら)の管理をする者。人。
※東文書‐寛平八年(896)二月二五日・山城国山田郷長解「山田郷長解 申売買百姓家地立券文事〈保証刀禰〈略〉内蔵寮蔵人従七位下秦忌寸貞世」

くらんど【蔵人】

〘名〙 =くろうど(蔵人)
※高野本平家(13C前)四「伊豆守、其比はいまだ衛府蔵人(クランド)でおはしけるが」

くろ‐うず くらうづ【蔵人】

〘名〙 「くろうど(蔵人)」の変化した

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百科事典マイペディア「蔵人」の解説

蔵人【くろうど】

古代より宮中の諸寮司で蔵の管理を行った官人で,奈良時代,造東大寺司に置かれた蔵人は史生(ししょう)・案主(あんじゅ)などの下位に位置づけられている。810年に令下官(りょうげのかん)の一つとして蔵人頭(くろうどのとう)とともに蔵人が設置され,嵯峨天皇に近侍して機密文書を扱ったとされている。のち職能の範囲が広がり,天皇・天皇家の日常雑事や宮中の整備・取締りなど一切を支配し,上奏下達をも管掌する要職となった。平安時代にはほかに内蔵(くら)寮・穀倉院・贄殿(にえどの)・斎院司などに設置されているが,内裏(だいり)の蔵人所にならって院・女院(にょいん)・後院・春宮(とうぐう)・親王家・摂関(せっかん)家などでも蔵人や蔵人所が置かれるようになった。蔵人の職務や作法を定めた法令集が蔵人式で,蔵人所の別当(べっとう)・頭・五位(ごい)蔵人などの職員の任命や在職状況を年ごとに記した職員録として蔵人補任(ぶにん)がある。蔵人所が用いた下文形式の文書は蔵人所下文で,公家様(くげよう)文書の一つ。
→関連項目令外官

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「蔵人」の解説

蔵人
くろうど

職事 (しきじ) ,青色とも呼ばれた。令外官蔵人所の職員。もとは天皇の御物を納めた倉の管理を司っていたが,弘仁1 (810) 年,蔵人所が設置されると,それに加えて,天皇の側近にあって奏上,命令の取次ぎにあたり,昇殿を許され,宮中の事務,行事万端にあずかり,大きな勢力をもった。

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旺文社日本史事典 三訂版「蔵人」の解説

蔵人
くろうど

平安初期に設置された令外官 (りようげのかん) の一つ
本来皇室の用具や文書を預かる役人。810年薬子の変に際し蔵人頭が置かれ重要な官職となった。天皇に近侍し,機密文書の保管詔勅・奏上の取り次ぎ,宮中の諸儀式などを行う。平安後期には,院・摂関家・大臣家にも置かれた。

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デジタル大辞泉「蔵人」の解説

くろうど〔くらうど〕【人】

《「くらひと」の音変化》
蔵人所くろうどどころの職員。もと皇室の文書や道具類を管理する役であったが、蔵人所が設置されて以後は、朝廷の機密文書の保管や詔勅の伝達、宮中の行事・事務のすべてに関係するようになった。くらんど。
女蔵人にょくろうど」の略。

くらんど【蔵人】

《「くらうど」の音変化》「くろうど(蔵人)1」に同じ。

くら‐びと【蔵人】

酒蔵で働く人。杜氏のもとで働く職人

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世界大百科事典 第2版「蔵人」の解説

くろうど【蔵人】

蔵の出納・管理を職掌とする下級官人。〈倉人〉とも書く。奈良時代の造東大寺司に置かれ,史生・案主等の下位に位置付けられた。810年(弘仁1)3月に設置された蔵人も,蔵人所が校書殿(きようしよでん)に置かれたところから考えて,納殿の出納・管理を名目上の職掌としたものと思われる。このように,出納・管理を職掌とする官人としての蔵人は,平安時代においては,内蔵寮,穀倉院,贄殿(にえどの),斎院司等において例をみる。

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世界大百科事典内の蔵人の言及

【杜氏】より

…現在,青森(津軽杜氏),秋田(山内),岩手(南部),新潟(越後),静岡(志太),長野(諏訪),石川(能登),福井(糠(ぬか)),京都(丹後),兵庫(丹波,但馬,城崎),岡山(備中),広島(安芸津),山口(熊毛,大津),島根(秋鹿(あいか),石見),愛媛(越智,西宇和),高知(香美,幡多),福岡(三潴(みづま),柳川)の1府16県に24の杜氏集団があり,1979年現在,全国で1万4756名の酒造季節労務者(うち杜氏2444名)が清酒醸造に従事している。【菅間 誠之助】
[江戸時代の酒造労務者]
 広義には酒造労務者の総称とされ,蔵人(くらびと),蔵男(くらおとこ)ともいった。狭義にはその酒造労務者のなかでの責任者をとくに杜氏と呼んでいる。…

【職事】より

…なお,季禄は散事にも支給された。またのちに令外官の蔵人(くろうど)頭以下,五位,六位の蔵人を職事といった。【野村 忠夫】。…

【殿上日記】より

…清涼殿の殿上の間に候する蔵人が記録する職務日記。当番を組んで執筆したので番記ともいう。…

※「蔵人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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