須磨関(読み)すまのせき

精選版 日本国語大辞典 「須磨関」の意味・読み・例文・類語

すま‐の‐せき【須磨関】

  1. 西国街道の、摂津国播磨国との境に置かれた古代関所。現在の神戸市須磨区の関守稲荷神社の地とされる。
    1. [初出の実例]「秋、すまのせきあり 秋風の関吹きこゆるたびごとに声うちそふるすまの浦波」(出典:忠見集(960頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「須磨関」の解説

須磨関
すまのせき

古代摂津・播磨国境、すなわち畿内の最西端に設置された関。歌枕として知られ、源兼昌の「あはぢしまかよふちどりのなくこゑにいくよねざめぬすませきもり」(金葉集)の歌が著名。跡地について「摂津名所図会」には千森ちもり川の東岸、山陽道沿いに「関屋跡」が描かれ、「須磨関屋跡(中略)源光寺の西、街道の左右に一堆の台あり、これをいふ」と記される。千森川は道守ちもり川かとする説もある。現在、須磨区関守せきもり町にある稲荷神社境内に関屋跡の碑が建てられているが、発掘調査などはされておらず確証はない。また国境にある鉢伏はちぶせ山は海岸に迫って通行困難であったとみられることから、古代山陽道は海辺を通らずに山手の多井畑たいのはた越へ迂回していたとして、関跡を多井畑の小字関末せきすえに求める説もあるが、在原行平(業平の兄)が須磨で詠んだ「旅人はたもとすずしくなりにけりせきふきこゆるすまのうらかぜ」(続古今集)の歌や、「梁塵秘抄」に「須磨の関和田の岬をかい廻うたる車船、牛窓かけて潮や引くらん」とあることなどから、海沿いの道も否定できない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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