日本大百科全書(ニッポニカ) 「食事バランスガイド」の意味・わかりやすい解説
食事バランスガイド
しょくじばらんすがいど
厚生労働者および農林水産省が提案している日本の一般成人向けの食生活ガイド。一般の成人の生活者が健康的な食生活を送るために、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を提供する目的で、望ましい食事の組合せと大体の量を玩具のコマのイラスト上でわかりやすく示したものである。
現代の日本には選択に迷うほど多種多様な食品や料理が巷(ちまた)にあふれており、豊かな食生活を満喫することができる。抗加齢やダイエットをはじめとして健康と食に関する情報も氾濫(はんらん)している。一方、「平均寿命」と、自立した健康的な生活を示す指標の一つである「健康寿命」の違いについても、国民の間に理解が広まりつつある。さらに、肥満や隠れ肥満、低栄養といった健康に係る課題には食生活が大きくかかわっていることが明らかである。そこで2000年(平成12)に、健康的な食生活に係る「食生活指針」が、厚生労働省(当時は厚生省)、農林水産省、文部科学省(当時は文部省)の連携で制定された。さらに、その「食生活指針」を具体的な食の行動に結び付ける目的で、2005年に厚生労働省と農林水産省が連携して、食生活バランスガイドが策定された。この食生活バランスガイドでは、1日に何を、どれだけ食べたらよいかを、「コマ」を用いて示している。
本ガイドの特長は、以下のとおりである。
〔1〕個別の食品単位ではなく、料理単位で例示し、1日に摂取する料理を示している。
〔2〕料理を5区分とし、コマの上部から、(1)主食(ご飯、パン、麺)、(2)副菜(野菜、いも、キノコ、海藻料理等)、(3)主菜(肉、魚、卵、大豆料理等)、(4)牛乳・乳製品、(5)果物、の各区分を示している。こうした区分の料理をバランス良く食べてコマを回す重要性を例示している。
〔3〕一日に食するべき目安の量を示している。
ちなみに、食事バランスガイドの基盤の考え方となった「食生活指針」は、2016年に部分改定された。改正された指針では、「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を図る」という項目が3番目と上位に移された(2000年制定の「食生活指針」では7番目)。これは、バランスの良い食事の重要性がいっそう高まっていることを示している。実際に、若い女性のやせ過ぎと高齢者の低栄養についての注意喚起が追記されている。
[飯野和美 2018年5月21日]