食品トレーサビリティ(読み)しょくひんトレーサビリティ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食品トレーサビリティ」の意味・わかりやすい解説

食品トレーサビリティ
しょくひんトレーサビリティ

食品の生産から販売にいたる経路(履歴)を追跡・把握できる仕組み。国際食品規格は「生産,加工および流通特定の一つまたは複数の段階を通じて,食品の移動を把握できること」と定義している。2001年のウシ海綿状脳症 BSE発生や病原性大腸菌 O-157などによる食中毒事故,残留農薬問題,食品表示偽装などを背景に講じられた食品の安全管理対策の一つ。履歴をたどることにより,事故発生時における原因のすみやかな特定,対象食品の迅速な回収,別の安全な流通経路の確保が可能となる。また消費者はインターネットなどから容易に履歴情報を入手できる。そのために,生産者や事業者には出入荷時の伝票記帳などによる情報の管理が求められる。2003年「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(牛肉トレーサビリティ法)が制定され,国産牛肉のトレーサビリティの構築が義務づけられた。また同年食品衛生法が改正され,食品事業者は必要な限度において仕入れ先の名称などの記録作成・保存に努めるよう定められた。2009年「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」(米トレーサビリティ法)が制定され,米穀などを取り引きしたときの入荷・出荷記録を作成・保存すること,事業者間および一般消費者への米穀の産地,米加工食品の原料米の産地伝達が義務づけられた。

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