食胞(読み)ショクホウ

関連語 体内 名詞

日本大百科全書(ニッポニカ) 「食胞」の意味・わかりやすい解説

食胞
しょくほう

原生動物海綿動物など消化器官をもたない動物が、細胞質内に取り入れた食物粒子を囲んで一時的に形成する液胞のことで、細胞消化を行う。食物胞ともいう。消化後、食胞は消失する。たとえば、アメーバは仮足による食作用によって、ゾウリムシは口や咽頭(いんとう)などの細胞器官によって、それぞれ食物を細胞内に取り込んで食胞を形成し、消化吸収する。海綿動物の襟細胞遊走細胞などの食細胞も食胞を形成する。

[内堀雅行]

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百科事典マイペディア 「食胞」の意味・わかりやすい解説

食胞【しょくほう】

原生動物などの固形食物をとる細胞が,食物を取り込み消化するために作る特殊な細胞小器官。食物の細胞内への摂取に伴って形成され,消化・吸収完了後細胞表面から不要物を放出して消滅する。食胞内での消化は周囲の細胞質から分泌される消化酵素による。
→関連項目液胞細胞器官ゾウリムシ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食胞」の意味・わかりやすい解説

食胞
しょくほう
food vacuole

原生動物のうち胞子虫類と一部鞭毛虫類を除く,主として固形物をとる種類が,食物を囲んでつくる一時的な細胞器官で,食物胞ともいう。食物を包み込むような形で体表壁が体内に落込んで形成される。消化吸収後,不消化物を体外に放出して消滅する。

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世界大百科事典(旧版)内の食胞の言及

【液胞】より

…藍藻類の細胞には液胞はあまり発達しないが,ユレモなど浮遊性のものには細胞液の入らない空胞gas vacuoleをもつものがある。なお原生動物にみられる食胞・収縮胞を液胞の一種とみなすこともある。【岩槻 邦男】。…

【エンドサイトーシス】より


[食作用]
 細胞が固形物を取り込む現象。アメーバが餌である繊毛虫テトラヒメナやゾウリムシ,鞭毛虫キロモナスなどを食べるとき,仮足を二またに大きく突き出し包み込むようにして体内に入れ,結果としていわゆる食胞を新しく作る。この食胞は後にリソソームというタンパク質分解酵素を含んだ細胞質中に散在する袋と融合して餌を分解・消化してしまう。…

※「食胞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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