仮足(読み)かそく(英語表記)pseudopodium
pseudopod

精選版 日本国語大辞典 「仮足」の意味・読み・例文・類語

か‐そく【仮足】

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デジタル大辞泉 「仮足」の意味・読み・例文・類語

か‐そく【仮足】

偽足ぎそく

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改訂新版 世界大百科事典 「仮足」の意味・わかりやすい解説

仮足 (かそく)
pseudopodium
pseudopod

偽足擬足ともいう。アメーバが池の中の枯葉などの表面をはって歩くとき,体の前端部から細胞一部分を突き出して当該の表面に接着しながら進む。この突き出した部分はあたかも足のように見えることから仮足と呼ばれる。仮足の形や数はアメーバの種によって異なり,仮足の先端が丸みを帯びている葉状仮足,細長く先端がとがっている糸状仮足網の目のように仮足が融合している網状仮足などがある。また同じ原生動物の太陽虫の放射状に多数出ている有軸仮足は中心に微小管microtubuleの束を持っている。アメーバの仮足は前進運動だけでなく摂餌(せつじ)にも重要で餌を2本の仮足で抱え包み込んで体内に取り入れる。太陽虫では,仮足の伸縮で体の移動を行い,またゾウリムシなどの餌を取るときには触手のように餌を取り抑え,体内に入れる。この仮足は機能的にはアメーバのものとまったく同様であり,足とはいうものの手の働きも兼ねている。
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百科事典マイペディア 「仮足」の意味・わかりやすい解説

仮足【かそく】

偽足とも。原形質突起一種アメーバ運動で典型的だが,原生動物のみでなく,粘菌変形体白血球など多細胞生物遊離細胞でもみられる。仮足形成は原形質流動,原形質のゲル・ゾル変化による。
→関連項目アメーバ細胞器官タイヨウチュウ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仮足」の意味・わかりやすい解説

仮足
かそく

アメーバや運動性をもつ培養細胞が、アメーバ運動を行うときにかならず形成する一時的突起で、運動のための細胞器官である。擬足、偽足、虚足ともいう。仮足は形状細胞質の流れ方によって数型に分けられる。アメーバの仮足は葉状で先端が丸く、細胞質の主流は1方向で、おもに移動に携わる。タイヨウチュウの仮足は糸状で、体から放射状に伸び、細胞質は相反する2方向に流れ、おもに捕食に携わる。仮足の形や数は外的および内的条件によって変わる。

[片島 亮]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仮足」の意味・わかりやすい解説

仮足
かそく
pseudopodium

擬足,偽足,虚足ともいう。原生動物の根足虫類,白血球,変形菌の変形体,組織培養した細胞などでみられる捕食,移動のための細胞器官。仮足による運動をアメーバ運動という。形によって葉状仮足,糸状仮足,有軸仮足,根足仮足の4型に区別される。

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世界大百科事典(旧版)内の仮足の言及

【足∥肢】より

…棘皮(きよくひ)動物の管足は水管系の突出物で放射状に5帯に配列しており,先端が吸盤状になっていて,他物に吸着し体を保持・移動する。アメーバ類の仮足は随時形成される細胞体の運動方向への突出にほかならない。【原田 英司】
【脊椎動物の足】
 脊椎動物のうち魚類を除く両生類,爬虫類,鳥類,哺乳類は,前肢(ヒトでは上肢,鳥類の場合は翼)と後肢(ヒトでは下肢)からなる4本の足をもつので,四足類(または四足動物,四肢動物)と総称される。…

【アメーバ】より

…内質には核,収縮胞,食胞,ミトコンドリアなどを含む。仮足(かそく)をだして運動するが,その際は体の後方の外質のゲルがゾル化して内質流となり,体の前方に向かって流動し,先端部のプラスマレンマが前方に膨らむ。ここで左右に分かれた内質流が膜のすぐ下でゲル化して外質になる。…

【アメーバ運動】より

…アメーバ運動とは自由生活あるいは寄生しているアメーバにみられるような,細胞が形を変えながら動いて歩きまわる運動であり,われわれの体の中で一部の白血球(マクロファージなど)や癌細胞などもこの運動によって動く。細胞質の流動を伴い,仮足の腹面を歩く面上にしっかり接着させて進む。細胞膜の内側には外肉質ゲルがあって外形を保ち,その内部を内質ゾルが流動している。…

※「仮足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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