飯縄神社(読み)いづなじんじや

日本歴史地名大系 「飯縄神社」の解説

飯縄神社
いづなじんじや

飯縄いいづな山の山頂にある。ここからは東南方遥かに富士山・浅間山を、西北戸隠とがくしの連峰高妻たかつま乙妻おとつま西にし岳が、北に妙高みようこう黒姫くろひめほか信越の諸山、西南には飛騨ひだ山脈の山々を望むことができる。

社殿は石殿で、石殿を取り囲む岩石上には、日本の霊山を祀った石祠が立ち並んでいる。祭神は大戸道命・大戸辺命と保食命の三神。「延喜式」神名帳所載の水内みのち郡九座のうちの皇足穂命すめたるほのみこと神社であると伝える。祭日は五月五日と七月二六日である。

飯縄神社は早く修験道と関係をもち、「阿娑縛抄諸寺略記」の戸隠寺の条に、「嘉祥二年比、学問行者飯縄山七日之間、向西大嵩祈念云々」とあるように、学問行者が戸隠山を開くに先立って飯縄山に登り祈念を行ったことを記している。また戸隠神社の古縁起「戸隠山顕光寺流記」(戸隠神社文書)によると嘉祥三年(八五〇)三月に学問行者が初めて飯縄山に登り諸神の加護を請うたことを述べている。戸隠山と飯縄山の修験の結付きは、既に平安時代にあったもののようである。

また同記によれば、鎌倉時代に至って、戸隠の支配を離れて戸隠修験とは別に飯縄大明神をもって「天狗」と唱え、いわゆる飯縄修験すなわち飯縄修法(飯縄の法)を行ったことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報