馬医草紙(読み)バイソウシ

デジタル大辞泉 「馬医草紙」の意味・読み・例文・類語

ばいそうし〔バイサウシ〕【馬医草紙】

鎌倉時代絵巻前半和漢名医10人の肖像名馬の姿を描き、後半に馬の良薬とされる17種の薬草を図示する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「馬医草紙」の意味・わかりやすい解説

馬医草紙
ばいそうし

鎌倉時代の絵巻。馬医道の守護神とされる和漢の伝説的な名医10人の肖像を描き、像の傍らに厩(うまや)につながれた名馬の姿を添え、上方色紙形に馬医の忌日などが記されている。なお後半部には馬の良薬とされる薬草17種の図解と名が示される。東京国立博物館に文永(ぶんえい)4年(1267)書写の奥書をもつ1巻(重要文化財)が伝わり、また同絵巻中の2場面(馬と巫女(みこ)の図)と同一図様の断簡2図が残る。断簡の絵は細部描写がより正確で、東博本に先行する制作とみられる。当時、実用的な目的からこの種の絵巻が転写され、流布したものと思われる。

[村重 寧]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「馬医草紙」の意味・わかりやすい解説

馬医草紙
ばいのそうし

馬医方で守り神とされている和漢の伝説的な名医の肖像や,馬の良薬と秘伝される薬草を描いた図巻。現在東京国立博物館所蔵の1巻と残欠2図が伝来。ともに紙本着色。前者は和漢の名医 (伯楽,医公法薬,頼公,東群,天,大汝,王良,幡蓋,神農,越後丹介) の画像およびその従者と,厩につながれた馬を描き,続いて 17種の薬草を図解するもので,巻末に文永4 (1267) 年の年記がある。後者は厩にいる馬 (クワウリュウ) の図と大汝の図で,東京国立博物館本にやや先行するものと考えられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android