骨張(読み)コッチョウ

デジタル大辞泉 「骨張」の意味・読み・例文・類語

こっ‐ちょう〔‐チヤウ〕【骨張/骨頂】

《「骨張ほねばる」の音読で、「頂」は当て字という》
程度がこれ以上ないこと。最高の段階。初め善悪いずれにも用いたが、現代は好ましくないことについていうのが普通。「愚の―」「やぼの―」
仏門においては、祝ひの―なるべけれ」〈おらが春
意地を張ること。強く主張すること。
「その余党等、以ての外に―し、数通の起請文を書きて」〈折たく柴の記・中〉
強く言いたてる人。中心人物張本人
「智積、覚明仏光等の―の輩六人」〈盛衰記・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「骨張」の意味・読み・例文・類語

こっ‐ちょう‥チャウ【骨張・骨頂】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「骨張(ほねば)る」の音読。「骨頂」の「頂」は当て字 )
  2. ( ━する ) 意思が強く、角だつこと。強く主張すること。言い張ること。
    1. [初出の実例]「依此一言、更起励心、被骨張云々」(出典:玉葉和歌集‐治承四年(1180)八月八日)
    2. 「其余党等以の外に骨張(コツチャウ)し」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)中)
  3. ( ━する ) もっとも強く主張すること。また、その人。張本(ちょうほん)。また、発願人。
    1. [初出の実例]「御領中御家人等、不仕其役之由、令骨張候云々」(出典:高野山文書‐(年未詳)(鎌倉)正月一五日・中原親能書状)
  4. ( ━する ) 公然ととり行なうこと。実行すること。
    1. [初出の実例]「為御家人子息、属青蓮院、令張悪事之由、負梨下訴之条、非穏便之儀」(出典:建治三年日記(1277)七月二五日)
  5. ( 形動 ) 程度がもっともはなはだしいこと。この上ないこと。また、そのようなさま。近世ころから、多く、悪くいう場合に用いられる。
    1. [初出の実例]「製作之体太以骨張也。不凡流」(出典:明衡往来(11C中か)下末)
    2. 「Cocchǒ(コッチャウ)。〈略〉例、ヌスビトノ cocchǒgia(コッチャウヂャ)〈訳〉みごとな盗人の達人である」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. 「定めし馬鹿の骨頂だらう」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一五)
  6. ( 形動 ) ( ━する ) 未熟なところがなく、すぐれていること。そのような人。また、そのようなさま。特に、粋(いき)なこと。骨皮(こっぴ)
    1. [初出の実例]「Cocchǒ(コッチャウ)スル〈訳〉ある事に熟達し高い資格を得る」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 「古狸の兀頂(コッチャウ)(ひとつ)穴の狐狢(むじな)往時を語る」(出典:滑稽本・大千世界楽屋探(1817)標目)

骨張の語誌

( 1 )「骨張(ほねば)る」の音読から生じたとされるが、「ほねばる」という語は例が少なく、古い確例がない。
( 2 )「骨張」は、「玉葉」「吾妻鏡」などの記録体の文献に比較的多く見られ、記録語であったと考えられる。

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