従来の,液体ヘリウム温度まで冷却してはじめて超伝導状態になる水銀(転移温度4.15 K)などに比べて,より高温で抵抗0の超伝導現象を示す材料.従来型の超伝導体は,すべて金属・半金属とその合金で,臨界磁場に達するまでは完全反磁性を示し,転移温度(Tc)でシャープに超伝導状態に転移する第1種の超伝導体である(常圧下の転移温度の最高はNb3Geの23 K).高温超伝導体は金属化合物と合金で,化合物の大部分が銅酸塩CuO22-を含む酸化物である.転移もある微小温度幅をもって起こり,臨界磁場以下でも部分的に磁束の侵入が起こることで,第2種の超伝導体に分類される.1986年にスイスのIBM研究所のAlex MüllerとGeorg Bednorz(1987年,ノーベル物理学賞受賞)が見いだした,最初の高温超伝導体は,ペロブスカイト型構造のセラミックスLa1.85Ba0.15CuO4で,転移温度は30 K であった.超伝導の機構はまだ十分わかっておらず,第1種の場合のs電子のクーパー対に対して,d電子クーパー対であると考えられている.1987年1月に,LaをYに置き換えただけで92 K に達し,以後,この系はYBCOとよばれるようになった.1995年に達成された(Hg0.8Tl0.2)Ba2Ca2Cu3O8.33の138 K が,定比化合物としては目下のところ最高の転移温度であるが(高圧下では160 K),2008年1月,(Sn1.0Pb0.4In0.6)Ba4Tm5Cu7O20+が181 K で超伝導に転移することが報じられた.Bi系(第1世代ともいわれる)のBi2Sr2Ca2Cu3O10(Tc = 110 K)では,2004年の時点で長さ800 m の線材が得られている.これを用いた送電ケーブルの通電試験が,電力中央研究所・東京電力・住友電工の協力で2001~2002年に日本で行われた.Y系(第2世代)のYBa2Cu3O7(Tc = 93 K)は100 m 長である.アメリカの老朽化した送電網の基幹部分を,高温超伝導ケーブル化する壮大な計画が,2030年完成をめざして動きはじめている.2001年1月,青山学院大学の秋光 純が発見した二ホウ化マグネシウムMgB2も第2種で,転移温度が39 K の最初の金属・合金系高温超伝導体である.資源的に大量に存在するうえ,結晶構造も簡単で,セラミックス系に比べて加工が容易であるため応用の可能性が高く,世界中で競って線材化,薄膜化の研究が進められている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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