高野紙(読み)コウヤガミ

デジタル大辞泉 「高野紙」の意味・読み・例文・類語

こうや‐がみ〔カウヤ‐〕【高野紙】

高野山付近から産出する紙。高野版障子・傘などに用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「高野紙」の意味・読み・例文・類語

こうや‐がみカウヤ‥【高野紙】

  1. 〘 名詞 〙 高野山麓古沢(こざわ)付近から産出した紙。初めは経文に多く用いられ、のちには帳面、障子、傘などに用いられた。
    1. [初出の実例]「辰剋許自蔵人惟兼許高野紙」(出典:殿暦‐康和三年(1101)一二月六日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高野紙」の意味・わかりやすい解説

高野紙
こうやがみ

紀伊国(和歌山県)の高野山周辺で漉(す)かれる和紙。高野山へ登るには七口(ななくち)と称して7本の道が開かれ、そのいずれにも清流があるために平安時代末期から付近のコウゾ(楮)やガンピ雁皮)を原料とする紙が漉かれ、おもに寺院で使用された。ことに上古沢(かみこさわ)、下(しも)古沢、河根(かね)(九度山(くどやま)町)、細川高野町)などの村落が有名で、鎌倉時代の高野版(高野山金剛峯寺(こんごうぶじ)で印刷・発行した仏典類)の用紙に利用された。現在細川でただ1軒だけが伝統を守って漉いている。

[町田誠之]

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デジタル大辞泉プラス 「高野紙」の解説

高野紙

和歌山県伊都郡九度山町で生産される和紙。原料はコウゾなど。鎌倉時代に刊行が始まった「高野(こうや)版」に用いられたことから発展虫害に強く、保存用、また傘紙障子紙などに多く用いられた。

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世界大百科事典(旧版)内の高野紙の言及

【紀伊国】より

…黒江漆器も江戸時代の初期からすでに有名で,幕末期には全国から黒江に漆器商人が集まり,賃稼職人も約2000人いるほどに栄えた。高野紙は高野山麓の高野紙十郷が恵美須講を結んで自主統制をしながら生産した。備長(びんちよう)炭は姥目樫を1000℃以上の高温で焼いて生産し,たたけば金属音がする上質の炭で,江戸・大坂等でも焼物や料理などに重宝された。…

※「高野紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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