高麗鏡(読み)こうらいきょう

精選版 日本国語大辞典 「高麗鏡」の意味・読み・例文・類語

こうらい‐きょうカウライキャウ【高麗鏡】

  1. 〘 名詞 〙 朝鮮で高麗時代(九一八‐一三九二)に作られた銅鏡円形方形、八稜形などが多く、柄鏡や懸鏡もある。鏡背に動植物人物山水または文字、菩薩像などを彫ってある。漢鏡唐鏡和鏡などを原型として模したものが多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「高麗鏡」の意味・わかりやすい解説

高麗鏡 (こうらいきょう)

朝鮮の高麗時代に著しく発達した銅鏡。青銅鏡が大半を占めるが,白銅鏡も少なくない。一般に銅質が悪く,製作技術も高くない。そのほとんどが中国をはじめ,女真,日本など外国の銅鏡を模倣したもので,高麗独特の形式は皆無に等しい。宋・元など同時代の鏡だけでなく,漢・六朝・唐など古式の鏡を模しているが,その背後には,宋代に流行した復古鏡をそのまま模造したという事情がうかがえる。漢・六朝鏡式には,明光,方格規矩四神,獣帯などの諸鏡式があり,唐鏡式には円鏡以外に八稜・八花鏡がある。唐鏡式の文様には,海獣葡萄文,双竜文,双鳳文などがみられる。宋・元鏡式は最も多く,多種多様である。方形,隅丸方形,四稜形,六稜形,八稜形,葉形,鐘形などの諸形式があり,鈕(ちゆう)にも双鈕,三鈕などがある。文様の仕上がりは鈍いが,その内容は動物,人物,山水,航海,楼閣など実に豊富であり,また,宋・元鐘の銘文をそのまま写したものまである。そのほか,和鐘をまねた柄鏡や,女真文字を陽鋳したものなどが知られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高麗鏡」の意味・わかりやすい解説

高麗鏡
こうらいきょう
Koryǒ kǒul

朝鮮,高麗時代につくられた鏡。主として上流官人の家庭で用いられた。その図案初期末期では多少相違がみられる。中国,漢代の鏡に似た「五人物鏡」や「桂子月落鏡」などが有名。

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