中国,唐代に製作された鏡。唐代は長安,洛陽を中心とする宮廷文化が育ち,鏡も前代と異なる趣味をもち珍重された。唐鏡は白銅質,厚手のものが多く,形も変化に富み,円形,方形,八花形,八稜形などがある。また鏡背の文様には,螺鈿(らでん),七宝(しつぽう),金銀平脱(へいだつ),貼銀鍍金(ちようぎんときん)などの各種の技法がみられる。六朝鏡から唐鏡への過渡期には隋鏡という鏡式がある。これには四神鏡などがあり,団華文鏡などすぐれた作品が多い。海獣葡萄(かいじゆうぶどう)鏡は初唐から盛唐にかけての鏡式であり,宋代には海馬葡萄鏡と呼ばれたが,清代にいまの名称となった。葡萄文様と禽獣をあしらったもので,それぞれの時代の様式差がある。狻猊隻鸞(さんげいせきらん)八稜鏡は盛唐の様式であり,伯牙弾琴鏡や孔子栄啓期鏡もこのころの鏡である。狻猊双鳳のかわりに,狩猟文を描いたものもみられる。
奈良の正倉院には唐鏡の一大コレクションが伝えられているが,近年中国では長安,洛陽の唐代墳墓より各種の唐鏡が出土している。またロシア領シベリア,中央アジアからも海獣葡萄鏡などの唐鏡が発掘されている。唐鏡はその文様および技法においてきわめてすぐれており,東アジアの各種の工芸にも影響をあたえた。
→鏡
執筆者:岡崎 敬
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… 以上一連の鏡式に対して,六朝末からはかなり違ったものが現れる。宋代から,前者と区別されている唐鏡がそれである。これまでの鏡が帯圏の間を幾何学文や禽獣文で飾っているのと違って,鏡背いっぱいに大きな図様を配し,それが装飾的,かつ絵画的になっている。…
※「唐鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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