知恵蔵 「鳥谷敬」の解説
鳥谷敬
聖望学園高等学校(埼玉県)在学中、3年生で遊撃手兼投手として第81回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)に出場した。2回戦(初戦)では大分県立日田林工高等学校と対戦して先制の打点を挙げ、またリリーフとして登板したが、3対5で敗戦した。
2000年、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科に進学。遊撃手として、東京六大学では2年春シーズンで三冠王を獲得、ベストナインに5回選ばれるなど活躍した。卒論テーマは「打撃動作における下肢の筋電図解析」。理論に裏づけされた打撃フォームを追求している。
03年、プロ野球ドラフト会議の自由獲得枠で阪神タイガースに入団。1年目の04年は、打率.251と苦しんだが、2年目は全試合に出場し、打率.278とチームの優勝に貢献。この年は、オールスター戦、日本シリーズにも初出場した。
以降、タイガース不動の遊撃手として活躍。04年9月9日から14年シーズン終了時まで、連続試合出場1466を継続中(日本プロ野球歴代3位)。また、遊撃手として日本プロ野球歴代1位の432試合連続フルイニング出場も継続している。
堅実な守備と安定した打撃の評価は高く、この間、ベストナインに5度、ゴールデングラブ賞に3度選出された。10年、11年は阪神タイガース選手会長、13年、14年にはチームキャプテンを務めた。
13年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場。台湾戦では、1点リードされた9回2死から盗塁を決め逆転勝利につなげるなど勝負強さを発揮した。国際試合で刺激を受け、「久々に野球が楽しかった」と語っている。
海外フリーエージェント(FA)権は12年に取得しており、米国メジャーリーグで日本人内野手の評価が低いことなどから、その行使を見送ってきたが、年齢的にラストチャンスといわれる14年11月に行使した。松坂大輔投手のレッドソックス移籍などをまとめ、大物代理人として知られるスコット・ボラス氏と代理人契約。複数球団と主に二塁手として交渉し、大リーグの複数球団が興味を示したとされるが、移籍契約には至らなかった。1月8日、阪神残留の意思を球団側に伝えたとされる。
1月22日、阪神タイガースと5年総額20億円(推定)の大型契約を結び、記者会見で残留の決め手について「優勝を味わいたい」という思いが強かったことを明かした。「阪神で(現役を)終われたら」と語る。
14年までの通算成績は、1545試合に出場し5648打数1611安打、打率.285。
(葛西奈津子 フリーランスライター/2015年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報