ニワトリの糞は昔から自給肥料として消費されてきたが,近年は養鶏業の発達による大量生産に伴い,火力乾燥や加工を行い,商品として流通するようになった。製法上は単に乾燥したのみの乾燥鶏糞と,硫酸を混合し火力乾燥した加工家禽糞肥料の2種類がある。乾燥鶏糞の成分は窒素4%,リン酸4%,カリウム2%程度のほか,カルシウム,マグネシウム,マンガンなどを含み,肥料としての価値は高い。しかし易分解性窒素が多いので,一時に多量施用すると急激な発酵分解が起こり,植え傷みなどを生じやすい。加工家禽糞肥料は窒素3%,リン酸3%,カリウム1%程度を含んでおり,乾燥鶏糞のような発酵による障害はほとんどない。鶏糞の窒素の約3/4は尿に由来する易分解性の尿酸態で一部がアンモニア態になっている。残りの窒素は糞に由来するタンパク態で土壌中で緩やかに分解する。リン酸の約20%は水溶性である。肥効はダイズ油かすとほぼ同じで野菜,果樹,花卉などに適する。
→有機質肥料
執筆者:熊沢 喜久雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ニワトリの糞を乾燥させた肥料で、魚肥、油かすなどと同じように有機質肥料である。市販されているものには、単に火力乾燥し包装した乾燥鶏糞と、硫酸あるいは硫酸に廃糖蜜(みつ)のアルコール発酵濃縮廃液を混合して火力乾燥した加工家禽(かきん)糞肥料の2種類がある。硫酸は窒素成分の揮散と悪臭を防止し、また土壌中での急激な発酵分解を抑える働きもある。乾燥鶏糞の成分は窒素4%、リン酸4%、カリ2%程度であり、加工家禽糞肥料では窒素3%、リン酸3%、カリ1%程度である。そのほかカルシウム、マグネシウム、マンガンなどが含まれている。鶏糞は野菜、果樹、花卉(かき)などに適した肥料であり、また養分の流亡しやすい砂地にも適している。しかし乾燥鶏糞を一時に多量に施すと急激に発酵分解し、作物が植えいたみなどの生育障害をおこすことがあるので、土壌とよく混ぜ、作付けまでに1か月以上の期間をおくなど、取扱いに注意する必要がある。
[小山雄生]
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