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鹿の遠音 しかのとおね

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鹿の遠音
しかのとおね

尺八楽の曲名。琴古流の正式曲名『呼返 (よびかえし) 鹿の遠音』。独奏もされるが,本格的には2管の掛合演奏。古典尺八本曲のなかで例外的に描写的な芸術曲。明暗流,竹保流のものは同名異曲。

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世界大百科事典 第2版の解説

しかのとおね【鹿の遠音】

尺八楽古典本曲の曲名。琴古流と明暗(みようあん)系(明暗真法(みようあんじんぽう)流,明暗対山流,上田流など)に別曲が伝わる。いずれの場合も秋の深山に遠く聞こえる鹿の鳴き声の描写を曲想としており,描写的性格と音楽的な華やかさをもつ点で,《鶴の巣籠》と並んで古典本曲中の例外的な存在である。琴古流の曲は正式には《呼返鹿遠音(よびかえししかのとおね)》と呼ばれ,流祖初世黒沢琴古が一計子という虚無僧から伝授を受けたと伝えられるが,それ以上の起源は不明である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鹿の遠音
しかのとおね

尺八本曲(ほんきょく)の曲名。普化(ふけ)宗の宗教的儀礼や修行のための宗教音楽ではなく、動物の生態描写を通して、親子や夫婦の愛情を表現した鑑賞用音楽。同じく動物をテーマとした『鶴(つる)の巣籠(すごもり)』と双璧(そうへき)をなす破手(はで)の曲。晩秋のころ奥山深くで鳴く雄鹿の声。谷にこだまし、風に揺れて伝わる遠音が、森閑とした秋の情景にもの悲しく響く。原名を『呼返鹿遠音(よびかえししかのとおね)』というとおり、2管の尺八で交互演奏される。この掛合い形式によるのはこの曲のみ。2管の奏でる偶然的な不協和音程、しだいに切迫する掛合いの妙技、尺八独得の技法などが大きな魅力の曲。[月溪恒子]

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