日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿島精一」の意味・わかりやすい解説
鹿島精一
かじませいいち
(1875―1947)
日本の大手建設企業である鹿島建設の前身、鹿島組の3代目経営者。岩手県盛岡で士族の長男に生まれた。東京帝国大学工学部を卒業後、鹿島家の婿養子となり、鹿島組の副組長に就任。1912年養父鹿島岩蔵の死去とともに組長となって、それまでの主力事業であった鉄道建設以外に水力発電所の建設など各種の土木・建築工事への進出を図った。また、1930年(昭和5)に鹿島組を個人経営から株式会社に改組するなど、経営の近代化にも努めた。穏健な人格が人望を得て業界団体の代表者などを務めたが、他面では、その堅実な経営のやり方が鹿島組の成長を抑えたといわれる。
[四宮俊之]
『鹿島精一追懐録編纂委員会編・刊『鹿島精一追懐録』(1950)』