麦水(読み)ばくすい

世界大百科事典 第2版の解説

ばくすい【麦水】

1718‐83(享保3‐天明3)
江戸中期の俳人。姓は,名は長,通称池田屋平三郎のち長左衛門。初号は可遊,別号は四楽庵,樗庵など。加賀金沢の蔵宿の出で,伊勢乙由(おつゆう)を慕い,その子麦浪から麦水の号を得た。早くから行脚を好み,1749年(寛延2)には江戸,伊勢,京を回って《あづまぢ草》を草し,61年(宝暦11)から3,4年は京,江戸にたびたび往来して俳壇の中興気運を高め,《鶉だち》を刊行した。70年(明和7)ごろから,漢詩文調のいわゆる貞享蕉風(芭蕉初期の作風)への復帰を説き,自論を《俳諧蒙求》《蕉門一夜口授》その他の俳論書,伝書に吐露し,《虚栗(みなしぐり)》調の作品を《新虚栗》(1777)に集成した。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

麦水
ばくすい
(1718―1783)

江戸中期の俳人。堀氏。通称池田屋長左衛門。初号は葭由(かゆう)、可遊。別号に樗庵(ちょあん)、暮柳舎(ぼりゅうしゃ)など。加賀国(石川県)金沢の人。生家は金沢竪町(たてまち)の蔵宿。俳諧(はいかい)は初め支考(しこう)門の美濃(みの)派に、中ごろ麦林・麦浪の伊勢(いせ)派に属した。しかし、のち支麦の風調の卑俗浅陋(せんろう)なることに気づき、『虚栗(みなしぐり)』の気概高致なるところにあこがれ、「貞享蕉風(じょうきょうしょうふう)」なるものを喧伝(けんでん)、天明(てんめい)中興俳諧の革新運動に大きく寄与した。著書に『鶉立(うずらだち)』『俳諧蒙求(もうぎゅう)』『貞享正風句解伝書』『山中夜話』『蕉門一夜口授』『新虚栗』など。多芸の人で、将棋、茶道、書画骨董(こっとう)の鑑定にもたけていた。また『慶長中外伝』『寛永南島変』『慶安太平記』などの稗史(はいし)小説や雑書も多い。
 蝶々(てふてふ)や昼は朱雀(すざく)の道淋(さび)[堀 信夫]

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