虚栗(読み)ミナシグリ

デジタル大辞泉 「虚栗」の意味・読み・例文・類語

みなしぐり【虚栗】

江戸前期の俳諧撰集。2冊。宝井其角編。天和3年(1683)刊。芭蕉および蕉門ほか貞門談林に属する俳人発句歌仙などを収録蕉風確立に至る過渡期の撰集。

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改訂新版 世界大百科事典 「虚栗」の意味・わかりやすい解説

虚栗 (みなしぐり)

俳諧撰集。其角編。1683年(天和3),京都西村市郎右衛門板。自序,芭蕉跋。半紙本2冊。上巻は改正(春)に発句(ほつく)213と歌仙2巻,三つ物(みつもの)6,改夏に発句113と歌仙2巻,25句1巻を収め,下巻は改秋に発句101と歌仙2巻,上冬に発句81と歌仙3巻を収める。発句中には,素堂の荷興10句,宗因,嵐雪,其角による三夕(さんせき)の発句,嵐朝,芭蕉,嵐雪の漢和聯句(かんなれんく)の重陽三句などが,四季の趣向に応じて配されており注目される。1681年の《次韻(じいん)》についで出た本書は,天和期(1681-84)の蕉風を代表する撰集と呼ぶにふさわしく,4年後江戸蕉門によって《続虚栗》が刊行された。後年麦水は《新虚栗》を出し,蕪村はその高邁さを慕った。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「虚栗」の意味・わかりやすい解説

虚栗
みなしぐり

俳諧撰集(はいかいせんしゅう)。二冊。其角(きかく)編。1683年(天和3)刊。題名は其角の発句(ほっく)「凩(こがらし)よ世に拾はれぬみなし栗」による。上巻は春・夏の発句220余、歌仙四巻、25句一巻を収め、下巻は秋・冬の発句180余、歌仙五巻等を収録。作者は芭蕉(ばしょう)、其角、嵐雪(らんせつ)、才丸(さいまろ)、一晶(いっしょう)、杉風(さんぷう)、素堂、似春(じしゅん)ら江戸蕉門を主とする人々や、京の信徳、千春秋風、大坂の宗因(そういん)らが入集(にっしゅう)。俳風は「憶(おも)老杜(らうと)/髭(ひげ)風吹て暮(ぼ)‐秋(しう)歎誰子 芭蕉」「詩あきんど年を貪(むさぼ)酒債哉(サカテかな) 其角/冬(とう)‐湖(こ)日暮(くれ)て駕(ノスル)馬鯉(こひ) 芭蕉」のごとく漢詩文調句が大半を占め、語調難渋で完結せぬ表現のものが多い。こうした吟調は「虚栗調」または「天和(てんな)調」といわれ、談林(だんりん)俳諧を超越して蕉風に至る過渡期の俳風を顕著に示している。

[雲英末雄]

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