黒質(読み)コクシツ(その他表記)substantia nigra

デジタル大辞泉 「黒質」の意味・読み・例文・類語

こく‐しつ【黒質】

大脳基底核を構成する神経核の一。緻密ちみつ部と網様部がある。緻密部は線条体ドーパミンを送り興奮を抑制する。網様部は淡蒼球たんそうきゅう内節と同様に、線条体や淡蒼球外節から抑制性の入力、および視床下核から興奮性の入力を受け、視床へ抑制性の出力を行う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒質」の意味・わかりやすい解説

黒質
こくしつ
substantia nigra

黒核ともいう。中脳の底に近く,大脳脚の背方,赤核側方にある灰白質で,ヒトではメラニン色素に富む神経細胞が集っているので黒く見えるが,他の動物では色素の沈着はない。錐体外路系に属し,同側の終脳核や大脳核や大脳皮質から刺激を受け,横紋筋の運動と緊張とを無意識的に調節する。パーキンソン病ではこの黒質に障害が起る。

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栄養・生化学辞典 「黒質」の解説

黒質

 中脳被蓋腹側部の核で,大脳脚の背側に接して存在する黒くみえる部分.ドーパミンと,GABAが多く存在する.

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世界大百科事典(旧版)内の黒質の言及

【大脳基底核】より

…前障は島皮質の一部であり,扁桃体は側頭葉皮質から発達したとする見方があったからである。しかし,これらの構造物の神経結合と機能が明らかにされるにつれ,扁桃体と前障は海馬や視床下部とともに大脳辺縁系の一環として論じられ,一方,錐体外路系としての尾状核,被殻,淡蒼球は視床下核(ルイ体),黒質,赤核などとともに論じられるようになった。しかも後者の系列を論じる際に大脳基底核の術語が用いられるため,大脳基底核は大脳における錐体外路系皮質下構造物を指す傾向が強くなった。…

【中脳】より

…後頭葉の視覚野や側頭葉の聴覚野から起こるものは,視覚や聴覚による運動の調節にも役立っている。
[黒質substantia nigra]
 黒質は大脳脚の背側部にある神経核で,網様部と緻密(ちみつ)部の二つの部分からできている。網様部の細胞には鉄とリポフスチンが多く,緻密部の細胞にはドーパミンとメラニンが多く含まれている。…

※「黒質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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