撓う(読み)シナウ

デジタル大辞泉 「撓う」の意味・読み・例文・類語

しな・う〔しなふ〕【×撓う】

[動ワ五(ハ四)]
弾力があって、折れずに柔らかに曲がる。たわむ。しなる。「本の重さで棚板が―・う」「よく―・うからだ」
従う。順応する。
「水に―・うて渡せや渡せ」〈平家・四〉
なよなよとする。
うち―・ひ寄りてそ妹はたはれてありける」〈・一七三八〉
[用法]しなう・たわむ――「撓」の字が共通して当てられるように、「枝がしなう(たわむ)ほど実がなっている」など、ゆるやかに弧を描く意では相通じて用いられる。◇「しなう」は弾力があって復元し易い状態をいい、「よくしなうからだ」「むちをしなわせておどかす」などと用いる。◇「たわむ」は重さや力に耐えられなくて曲がっている状態をいう。「本の重みで床がたわむ」また、「たわむことなく我が道を行く」のように、気力がおとろえるの意で使うことがある。この意は「しなう」にはない。
[類語]曲がる反るたわむたわわ折れ曲がる屈曲する屈折する曲折する湾曲する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「撓う」の意味・読み・例文・類語

しな・うしなふ【撓】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 弾力があって、たわみまがる。草木などがしなやかにまがる。しなしなとする。また比喩的に、人の姿や物の形などがしなやかな曲線をなす。しなえる。しなる。
      1. [初出の実例]「真木の葉の之奈布(シナフ)背の山賞(しの)はずて吾が越え行けば木の葉知りけむ」(出典万葉集(8C後)三・二九一)
    2. さからわないで、ものに従う。順応する。しなえる。
      1. [初出の実例]「水にしなうて渡せや渡せ」(出典:平家物語(13C前)四)
    3. 生気を失ってしおれる。しぼむ。
      1. [初出の実例]「旅人はそれを 見るからに し萎(ナ)ひうらぶれ」(出典:良寛歌(1835頃))
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙しなえる(撓)

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