撓む(読み)タワム

デジタル大辞泉 「撓む」の意味・読み・例文・類語

たわ・む【×撓む】

[動マ五(四)]
他から力を加えられて弓なりに曲がる。しなう。「実の重みで枝が―・む」
飽きて疲れる。心がくじける。
「我が心は決して―・むことなし」〈鴎外訳・即興詩人
しな[用法]
[動マ下二]たわめる」の文語形
[類語]曲がる反るしなうたわわ折れ曲がる屈曲する屈折する曲折する湾曲する

たお・む〔たをむ〕【×撓む】

[動マ四]曲がる。傾く。たわむ。
「花が咲いては―・うだ枝に実がなる」〈田植草紙
[動マ下二]曲げる。傾ける。
「稲の柱をおし―・めねばかれぬ」〈田植草紙〉

とお・む〔とをむ〕【×撓む】

[動マ四]たわむ。しなう。
沖つ波―・む眉引まよびき大舟のゆくらゆくら面影もとな見えつつ」〈・四二二〇〉

いた・む【×撓む】

[動マ下二]いた(撓)める」の文語形。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「撓む」の意味・読み・例文・類語

たわ・む【撓】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. 押されて曲がる。また、ゆるんで弧をえがいた状態になる。しなう。ゆがむ。たわれる。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
      1. [初出の実例]「花は〈略〉枝もたわむばかり咲き乱れたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. 心が一途でなくなる。心がゆるむ。心弱くなる。また、気持が他の方向にそれる。たゆむ。
      1. [初出の実例]「ますらをの 心は無しに 手弱女の 思ひ多和美(タワミ)て たもとほり 吾はそ恋ふる 船楫無み」(出典万葉集(8C後)六・九三五)
      2. 「変じ安き心は鴻毛より軽く、不(タハマ)志は角よりも稀也」(出典:太平記(14C後)三九)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙たわめる(撓)

たお・むたをむ【撓】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 曲がる。傾く。転じて、心弱くなる。気力がゆるむ。たわむ。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「葉に露がをけば枝までたをうてたるるものぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)一〇)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 曲げる。傾ける。しなわせる。
    1. [初出の実例]「Tauome, uru, eta(タヲムル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))

とお・むとをむ【撓】

  1. 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 たわむ。しなう。湾曲する。
    1. [初出の実例]「沖つ波 等乎牟(トヲム)眉引(まよびき) 大船の」(出典:万葉集(8C後)一九・四二二〇)

いた・む【撓】

  1. 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙いためる(撓)

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