曲る(読み)マガル

デジタル大辞泉 「曲る」の意味・読み・例文・類語

まが・る【曲(が)る】

[動ラ五(四)]
まっすぐなものが弓形・くの字形などになる。「雪の重みで竹が―・る」「背中が―・る」
道の方向が変わる。「土手手前で道が―・っている」
進行する向きを変える。「次の角を左に―・る」
正しい位置や方向からそれる。傾く。ゆがむ。「ネクタイが―・っている」
(「まがった」「まがっている」の形で)性質や考えなどが正しくない。すなおでない。「心の―・っている人」「―・ったことはきらいだ」
衰える。「身代が―・る」
[可能]まがれる
[類語](1折れ曲がる屈曲する屈折する曲折する湾曲する反るたわむしなう折るへし折る折る折れる畳む折り畳む折り重ねる折り曲げる折損たわわ/(2)(3折れる右折する左折するカーブする/(4)(5ねじけるゆがひずむ

きょく・る【曲る】

[動ラ四]名詞「きょく(曲)」の動詞化》からかう。ひやかす。
「この番頭はこんたまでが―・るぜえ」〈滑・浮世風呂三上

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「曲る」の意味・読み・例文・類語

まが・る【曲】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. まっすぐなものが湾曲する。たわむ。ゆがむ。曲線を描く。
    1. [初出の実例]「眉は長くして曲(マカラ)ず」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
  3. 折れる。屈曲する。屈折する。
    1. [初出の実例]「北に枉(まが)れる道は、北のかたに去ること四里二百六十歩」(出典:出雲風土記(733)巻末記)
  4. 向きを変える。進行方向を変える。
    1. [初出の実例]「魚店から左へまがり、横山町を直路に」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
  5. うずをまく。とぐろをまく。わだかまる。
    1. [初出の実例]「鳳のごとくに翥り、龍のごとくに盤(マカリテ)、将に衆瞽を開かむ」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九)
  6. 道理からはずれる。心がねじける。ひがむ。
    1. [初出の実例]「次に其の枉(マカレ)るを矯(なほ)さむと将(し)て生める神を、号けて神直日(かみなほひの)神と曰す」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
  7. 位置がねじれる。また、受け取り方がまともでなく、ひねくれる。「ネクタイが曲がる」
    1. [初出の実例]「云ひ切ってしまった時に感じるだらう心のすがすがしさと、それを曲って取られはしないかといふ不安とが」(出典:星座(1922)〈有島武郎〉)
  8. 一方に傾く。傾斜する。ななめになる。「柱がまがる」
  9. 衰える。衰微する。「身代が曲がる」
    1. [初出の実例]「どんなに智慧があって利口だって、曲(マガ)った日にゃ、鼻も引っかける奴はありませんや」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫〉九)
  10. 取引相場で、予想がはずれる。あてがはずれて損をする。〔取引所用語字彙(1917)〕

きょく・る【曲】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 名詞「きょく(曲)」の動詞化。「きょぐる」とも )
  2. 種々曲芸をする。
    1. [初出の実例]「えものは三味線、どんちゃんの、音に驚き裾野の猿が、三番(さんば)ふみふみ逃出す、鹿へ飛乗る曲る馬」(出典:常磐津勢獅子劇場花籠(1851))
  3. おかしく言いまわす。また、なごやかに言う。
    1. [初出の実例]「アなまみだ仏と詞できょくり、頼平とは白波の、直下に見るぞはまり成る」(出典:浄瑠璃・関八州繋馬(1724)道行)
  4. 人をからかう。ちゃかす。ばかにする。また、皮肉を言う。
    1. [初出の実例]「此四句は謂漢武目出事而下は玄宗をきょくった也」(出典:杜詩続翠抄(1439頃)一五)
    2. 「是はきょぐって答たやら、又うつけて答たやらぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)七)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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