鷺森領(読み)さぎのもりりよう

日本歴史地名大系 「鷺森領」の解説

鷺森領
さぎのもりりよう

現和歌山市域の西部、紀ノ川河口南岸、鷺森御坊のある一帯散在する村。「続風土記」は「其地旧は宇治郷の枝郷なり、後別に一箇村となる、今は若山の城中に入る」とし、範囲を「丸の内より宇治内町の内、本町より西、鷺森社を氏神とする地」と記す。鷺森領内に鷺森御坊門前町城下の町ができ、村方支配地は散在することになった。

永禄六年(一五六三)本願寺の御坊が弥勒寺みろくじ山より当地に移転してきた。当時の様子を「鷺森神社記」は、荒畑の草原人家もなく、遠くからは御堂一宇のみが海上に大船を繋いだようにみえたと記す。当地を含む宇治郷は中世商業の一中心地であったが、一向宗の拠点が置かれることで、御坊周辺の地域も開発の進む条件が整えられたといえよう(→宇治領

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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