正常な位置に肛門が開かず、直腸が
胎生初期の直腸肛門と泌尿生殖器の発育過程の異常により発生します。
約10%の症例で出生前診断が行われています。出生後の体温(直腸温)測定の際に肛門がないことで気づかれる場合が最も多く、一方、
約半数に合併奇形を認めます。
診断は視診によって容易です。さまざまな位置に瘻孔が開く場合があり、瘻孔の確認を必ず行います。病型分類は治療方針を決定するうえでも重要で、生後12~24時間後に倒立像X線撮影(子どもを倒立位にして側面像を撮影する)を行い診断します。瘻孔がある場合は、瘻孔からの造影検査も行われます。
泌尿生殖器系の奇形を合併している場合も多く、注意が必要です。
出生後は胃管を留置し、授乳を禁じて輸液を行います。治療は手術療法で、低位型は原則として新生児期に瘻孔切開術もしくは
術後の排便機能は低位型では良好ですが、中間位型や高位型では便失禁や高度の便秘が問題になることがあります。
出生前診断で疑われた場合は、新生児外科治療の可能な施設での分娩が望まれます。出生後に診断された場合や、瘻孔がなく、胎便の排泄も認めない場合は、新生児外科施設への緊急搬送が必要です。
和田 雅樹
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
肛門閉鎖ともいい、もっとも頻度の高い先天性の形態異常の一つ。正常な肛門がなく、新生児期に腸閉塞(へいそく)症状を現すため、人工肛門の適応となる。種類が多く、直腸肛門奇形ともよばれる。男児では尿道、女児では腟(ちつ)と直腸盲端が交通していることが多い。根治手術は生後6か月前後に行われるが、この交通を絶ち、直腸盲端を正常肛門部に引き降ろして肛門形成を行う。
排便機能にもっとも重要な筋肉は、恥骨から直腸後方を走って恥骨に帰る輪差(紐(ひも)を輪状に結んだもの)状の恥骨直腸筋である。この筋肉の上方に直腸盲端のある高位鎖肛では、その筋肉周辺および下方に直腸盲端のある中間位や低位鎖肛に比べて肛門形成術後の排便機能が劣る。高位鎖肛では、恥骨直腸筋が尿道(男児)または腟(女児)のほうに引き寄せられるため、無傷でこの筋肉群の中に直腸を通す間隙(かんげき)がつくりにくいことによる。
[戸谷拓二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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