知恵蔵
「BRICs」の解説
BRICs
ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字をつなげた造語。4カ国は合計で世界人口の4割、国土面積の3割を占め、近年、急激な経済成長をとげている。2003年に米証券会社ゴールドマン・サックスがレポートで、急成長する「新興市場」という観点からこの語を用いて「2039年にはBRICsの経済規模は米日独仏英伊の合計を抜く」と予測し、広く使われるようになった。もちろん4カ国にはそれぞれ構造的な問題があり、成長が単線的に持続するのか、予断を許さないが、BRICsの重要性は次の点にある。(1)長らく米欧日が主導してきた国際経済政策は、BRICs抜きでは機能しなくなり、G7サミットはロシアを加えG8となったのに加え、G8は、ここ数年BRICsおよび南アフリカ、メキシコなどを招き、協調によって政策の実効性を確保しようとしている。(2)BRICsは国際政治面でも影響力を増しており、ブラジルは南米で、インドは南アジアで、ロシアはユーラシアで、中国は東アジアで、それぞれ地域大国として重きをなし、欧米の優位、特に米国の一極支配からの自立性を高めようとしている。そこには多国間協調の必要が増すというプラス面があるが、他方、例えばパキスタンが地域大国インドに対抗して核兵器を開発するなど、核拡散、テロリストへの近代兵器や大量破壊兵器の拡散というマイナス面がある。(3)BRICsは4カ国に限らず1つの世界的潮流を示す点でも重要である。それは、米国の一極支配が行き詰まり、国際政治が多元化する傾向の代表例だからである。BRICs4カ国が構成する国際組織はないが、ロ中が基軸の上海協力機構にインドなどがオブザーバー参加するなど、BRICs相互間で連携を強め、米国を牽制する動きも模索されている。また南米でも、ベネズエラなどが自立的地域協力を追求している。(4)BRICsの経済的台頭は、米欧日に限らず、世界の飛躍的に多くの人々が豊かさを享受する時代の到来を示す。だが他方で、資源と環境面での制約は一層厳しくなる。例えば中国とインドのエネルギー需要が急増し、原油価格高騰の一因となっている。以上のようにBRICsは米欧日の先進国中心の世界経済秩序の多極化・多元化傾向と、地球的問題の拡散・深刻化という、世界的潮流を示している。
BRICs
中国と、それに続いて成長軌道に乗った新興諸国を一括した呼称。ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の頭文字を並べた新語で、米証券会社のゴールドマン・サックス社が2003年10月に投資家向けのリポートに使ったことから広まったといわれている。その点では、「新興市場」という言葉の起源と類似している。同リポートでは、この4カ国は02年の名目GDPを合計しても、米国の4分の1に過ぎないが、39年までに先進6カ国(米、日、独、仏、英、伊)の合計を上回るとした。インドはIT技術の強みを生かし、米企業からの業務委託を伸ばしてきた。ロシアは経済の好調を背景に、中国に続いてWTO加盟を目指している。しかし中国については、経済過熱からバブルの発生を指摘する声も少なからずあり、北京オリンピック、上海の万国博が終わった後に、安定成長に移行するかどうかは予断を許さない。また、インドでは、中国と同じように、経済成長から取り残された階層への対処が課題となっている。ロシアやブラジルは、アジア通貨危機の直後に、対外債務の累積から通貨金融危機を経験したことがあり、楽観論に対して警戒論もある。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
BRICs【ブリックス】
経済発展が目覚ましいブラジル,ロシア,インド,中華人民共和国の新興国。これら4ヵ国の頭文字を並べた造語で,米国の証券会社ゴールドマン・サックス社が2003年10月に発表した投資家向けレポートで使用したのが最初。これらの国々は,広大な国土,豊富な天然資源,膨大な労働力(人口)を持つ点が共通しており,上記のレポートでは2050年の国内総生産(GDP)の世界順位を中国,アメリカ,インド,日本,ブラジル,ロシアと予測している。新興国の台頭はエネルギー需要を促し,原油価格の高騰や世界的な食糧不足をもたらしている。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
BRICs
今後、成長が見込まれる、ブラジル、ロシア、インド、中国、の頭文字を合わせた総称。
これらの国々の株式や債券などに投資するBRICsファンドなどがある。
出典 (社)投資信託協会投資信託の用語集について 情報