チーフ・テクノロジー・オフィサーchief technology officerの略で、最高技術責任者と訳す。アメリカ型の企業統治組織形態をとる企業における役職名である。技術開発部門や研究開発部門の責任者であり、技術主導型業種である製造業や情報関連業種などに属する企業に多く導入されている。技術開発や研究開発を中長期的に全社戦略のなかで位置づけ、製造・マーケティング・販売などの部門と緊密な連携を保つ役割である。
アメリカ型企業統治組織は、取締役会(ボード)と執行役(オフィサー)の2段階になっている。両方のメンバーとなるのが、社内取締役といわれる。社内取締役には、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)が通常就任するが、必要によりCSO(最高戦略責任者)、CTOなども加わる。
アメリカの技術主導型企業や技術系ベンチャー企業では、CTO出身のCEOもみられる。不確実性が高くリスクを伴う技術開発や研究開発を事業化まで主導していくことは、多くの困難を伴い、高度な知識・スキルと優れたリーダーシップも求められるためである。MOT(Management of Technology=技術経営)の体現者ともいわれる。
日本企業では、技術部門や研究開発部門の担当役員は従来から設けられていた。しかし、技術系役員の数は大幅に減少傾向にある。技術主導型企業でも経営戦略と技術・研究開発を統合できる役員が不足し、世界において技術上のリーダーシップをとれず、グローバル展開する海外の技術主導型企業に遅れをとる主因の一つともいわれている。そのため、特定分野の専門職におけるトップという位置づけでなく、全社の技術・研究開発と他の部門を経営戦略に基づいて統合していくという役割は、見直され始めてきた。さらに、今後技術系役員は経営戦略を理解し実行にかかわるCTOに進化していくことが強く求められるようになると予測される。このため、現在の技術・研究部門管理者段階からの育成・キャリアパスの見直しも不可欠となる。
[丹羽哲夫]
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