HACCP(読み)ハサップ

デジタル大辞泉 「HACCP」の意味・読み・例文・類語

ハサップ【HACCP】[hazard analysis critical control point]

hazard analysis critical control point危害分析重要管理点NASAナサ(米国航空宇宙局)が宇宙食衛生管理のために考案した手法で、食品工業レストランの衛生管理に応用されている。ハセップ。
[補説]正式には「Ha-sip」と発音する。

ハセップ【HACCP】[hazard analysis critical control point]

hazard analysis critical control point》⇒ハサップ(HACCP)

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共同通信ニュース用語解説 「HACCP」の解説

HACCP

食品原材料の受け入れから出荷までの各工程で、健康被害を引き起こす恐れのある微生物や金属の混入などの危害要因を継続的に監視し、記録する管理システム。食品安全に関する国際基準を決める政府間組織コーデックス委員会」が1993年にガイドラインを提示し、欧米諸国を中心に普及が進んだ。厚生労働省は、東京五輪の開催決定で日本の食の安全に国際的関心が高まることや、環太平洋連携協定(TPP)発効で食品の輸出入が増加し、輸出先の国から衛生管理を強く求められる事態を想定。国内での対応が必要と判断した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「HACCP」の意味・わかりやすい解説

HACCP
はさっぷ

食品の衛生管理のシステムの一つ。Hazard Analysis and Critical Control Point(危害要因分析重要管理点)の頭文字をとったものである。「ハセップ」ともよばれる。食品等事業者が原材料の入荷から製造、製品の出荷に至る全工程において、工程ごとにHA(Hazard Analysis、危害要因分析)を行い、危害を防止するCCP(Critical Control Point、重要管理点)を定め、HACCPプランを作成してCCPのCL(Critical Limit、管理基準)を一定頻度で継続的に監視することにより、危害の発生を未然に防ぐものである。HAは、化学的危害要因(残留農薬や消毒剤など)、物理的危害要因(金属片などの硬質異物)、生物的危害要因(病原微生物など)という三つの観点から全工程において漏れなく実施する。なお、HACCPは一般的衛生管理を基盤として構築される。一般的衛生管理とは、食品の安全を確保するために必要な基本的管理であり、製造現場の清掃や洗浄、機械の洗浄・消毒・メンテナンス、防虫・防鼠(ぼうそ)措置、従業員の衛生管理や教育訓練などが含まれる。

 このシステムは、アポロ計画の宇宙食の安全性を保証するために、アメリカの食品会社ピルスベリー社とNASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)が、アメリカ陸軍のネイティック研究所で開発した方式を取り入れ、1959年にピルスベリー社が自社工場で適用したのが始まりとされている。同社は、1971年の全国食品安全性大会において、その概念をHACCPシステムとして発表し、1973年にはFDA(アメリカ食品医薬品局)により、低酸性缶詰の適正製造・品質管理基準に導入された。1985年にはアメリカ科学アカデミーがこのシステムの有効性を評価し、食品製造業者への積極的導入と、行政当局への法的強制力のある採用を勧告したことにより、本格的な普及が始まった。1993年には、FAO国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が設置した政府間組織であるコーデックス委員会から「HACCPシステム適用のためのガイドライン」が示され、世界各国へと広がっていった。

 日本では、1995年(平成7)に食品衛生法(昭和22年法律第233号)が改正され、これを受けて、1996年より「総合衛生管理製造過程」の承認制度が開始された。また、同年に発生した腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒を契機に、政府は食品等事業者におけるHACCPの普及を支援する目的で、1998年に「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」(HACCP支援法)を公布・施行した。

 1998年には、厚生省(現、厚生労働省)により、乳・乳製品の事業者等に総合衛生管理製造過程の承認が行われ、その後、対象は食肉製品、魚肉練り製品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルト食品)、清涼飲料水へと拡大された。また、自治体によるHACCP認証(地域HACCP)や、業界団体のHACCP認証など、さまざまな認証制度も誕生した。さらに、HACCPを含む国際標準の食品安全マネジメントシステムの第三者機関による認証の取得が欧米を中心に広がり、日本でも普及が進んだ。

 2018年(平成30)6月に食品衛生法が改正され、2021年(令和3)6月から施行された。HACCPに沿った衛生管理が制度化され、原則として、すべての食品等事業者にその実施が求められることになった。それまで日本では、HACCPは自主的な取り組みと位置づけられており、欧米諸国を中心に義務化されていた国々と比べて導入が遅れていた。HACCPの制度化に伴い、厚生労働省の総合衛生管理製造過程の承認制度が廃止(2020年6月)され、自治体による認証制度もHACCPに基づいて平準化される方向に進んでいる。

 HACCPの制度化により、原則として、すべての食品等事業者は自らが使用する原材料や製造方法などに応じ、計画を作成し、管理を行うことになった。そのため、厚生労働省はHACCP導入のための手引書を作成している。食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である小規模事業者などにも、一般的衛生管理を重視しつつ、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が求められており、厚生労働省はさまざまな業種向けに100を超す手引書も作成している。

 近年、消費者の食品安全への関心が高まっており、食品産業において消費者からの信頼を得る手段の一つとして、HACCPシステムの導入がますます重要になっている。

[松本隆志 2025年10月21日]

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百科事典マイペディア 「HACCP」の意味・わかりやすい解説

HACCP【ハセップ】

Hazard Analysis Critical Control Point Evaluationの略で,日本語では危害分析重要管理点といい,ハセップあるいはハサップと通称される。もともとは米国の航空宇宙局が主体となって考案された宇宙食の安全を守るためのシステム。食品の製造・加工において,原料から最終製品にいたるあらゆる作業工程で衛生および品質管理をチェックする方式で,日本でも病原性大腸菌O-157による食中毒の発生を契機に,このシステムに注目が集まり,1998年7月〈食品の製造過程の管理・高度化に関する臨時措置法〉(HACCP支援法)を定め,その普及に着手しはじめた。 1995年,EU(ヨーロッパ連合)はいち早くこの方式による衛生管理規制を導入。米国でも1997年12月から水産加工業者に,1998年1月からは食肉と家禽肉の加工業者に導入を義務付けた。HACCPの導入は,小規模経営の多い水産加工業者にとって大きな負担となるが,導入しなければこの方式を実施している国への輸出ができなくなる。また,食中毒が頻発する現状では,導入の方向へ向かわざるを得ない。日本でも大手の食品会社や水産会社はすでに導入しており,厚生省や農林水産省は,HACCP支援法を契機に食品加工業界や流通業界などに対してHACCP導入の推進を働きかけている。→食品衛生

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農林水産関係用語集 「HACCP」の解説

HACCP(危害分析重要管理点) (ハサップ)

Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品安全上重要な危害要因(有害な微生物や化学物質等)を同定し、評価し、制御するシステム。HA(危害分析)とは、食品安全上重要な危害要因・条件についての情報を収集・評価する過程を指し、CCP(重要管理点)とは、危害要因を除去または許容レベルまで低減するのに管理可能かつ不可欠なポイントを指す。
HACCPは、最終製品検査を主に頼るよりはむしろ危害要因の混入を防ぐことに重点を置いている。

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