NGF(読み)エヌジーエフ(英語表記)nerve growth factor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

NGF
エヌジーエフ
nerve growth factor

胎生期の知覚神経,胎生期後半以降の交感神経細胞の分化・成長・機能維持に必須なポリペプチド神経成長因子。 1948年 E. D.バーカーはマウス肉腫中の物質が知覚神経節を肥大させる現象を観察した。 R.レビ=モンタルチニらも同様の現象を観察し,S.コーヘンとともにこの因子を精製し NGFと命名した。 NGFはヘビ毒液,雄マウス顎下腺,モルモット前立腺,ウシ精液などに多く含まれ,116~118個のアミノ酸から成るポリペプチド鎖が2個非共有結合した2量体構造をし,分子量は 12~14KDaである。 NGFは抹消神経系の交感神経細胞の分化成長を促進する作用を持ち,シナプス形成時の軸索伸長の方向性を定める活性を持つ。さらに近年,脳内で合成され,コリン作動性神経系に作用し,その機能を活性化させる栄養因子として働いていることが明らかとなった。アルツハイマー型痴ほう症 (老人性痴ほう) 患者の脳内では,大細胞性コリン作動性神経路が大きな障害を受けているが,この現象と脳内のアストログリア細胞で合成される NGFとの関連が注目されている。病因と NGF合成の関係の究明や NGFをアルツハイマー病の治療薬として用いる研究が進められている。

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栄養・生化学辞典の解説

NGF

 神経成長因子をいう.118個のアミノ酸からなり,交感神経,感覚神経ニューロン増殖を促進するペプチド.末梢神経に存在する.Bリンパ球の増殖と分化を促進する機能ももつ.ニューロン,星状細胞,シュワン細胞線維芽細胞などで合成される.通常ダイマーを形成する.交感神経や感覚神経に働いて増殖促進作用を示す.コリン動作性神経ニューロンの成長を促進するので,アルツハイマー病に対する有効性が期待されている.

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