ROV(読み)あーるおーぶい/ROV(英語表記)Remotely Operated Vehicle

知恵蔵の解説

ROV

ケーブルで母船につながれ、ウインチで目的の深さまで降ろして使用する。ケーブルは母船から探査機まで電力と各種の指令を送り、海底の映像や情報をリアルタイムで船上に伝送する。マジックハンドを備え、海底で機器設置や物品回収などの諸作業が行える。目的に応じて、到達可能水深と性能は多種多様。世界中で数百機が研究用、及び商業ベースで稼働。海洋研究開発機構かいこうハイパードルフィン、フランスのビクトール、米国のジェイソン、ベンタナ、スーパー・スコーピオなどが有名。

(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ROV
ろぶ

遠隔操作によって動く無人探査機の通称。おもに深海を調査するシステムのビークル部分をさす名称で、Remotely Operated Vehicleの略である。アールオーブイともよぶ。遠隔操作型無人探査機と総称される場合が多いが、正式な名称ではなく、各開発メーカーで異なる名称が使われている。
 通常のROVは、深海調査船より一次ケーブル、ランチャー、二次ケーブルを介して結ばれ、母船と光ファイバーケーブルを介した制御装置によって操作される。上昇や下降は推進器(スラスター)やおもりの調整によって行われる。大きさは、最大潜航深度7000メートルの「かいこう7000」の場合、全長3メートル、幅2メートル、高さ2.1メートルで、重さは3.9トンにのぼる。ROVには、観察用のテレビカメラや海底で簡単な作業のできるマニピュレーター、地形などを観測するソナーをはじめ、水質や温度などを測定する機器やセンサーが目的に応じて装備されており、このほかに照明のハロゲンライト、無線中継器、高度計、ジャイロ、アルゴス送信機などの安全装置が搭載されている。深海の調査では、ROVが海底付近に達すると、浮遊状態で深度を保ちながら観察や調査が行われる。調査が終わると、スラスターか、おもりを切り離すなどして海面まで上昇する。
 ROVは、深海での救助活動や機雷掃海などの軍事目的で1960年代にアメリカで開発され、その後、海底の油田やガス田の調査・開発を支援する民間企業でも使用されるようになった。
 日本では、領海内において海底熱水鉱床、コバルト・リッチ・クラスト、レアアース泥、メタンハイドレートなどの希少な鉱物資源やエネルギー資源が、相次いで確認されたことから、1万メートルを超える大深度で探査活動を行い、複雑な地層でも資源を掘削することのできるROVや水中ロボットの開発が国家戦略として急がれている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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