日本大百科全書(ニッポニカ) 「TOTO」の意味・わかりやすい解説
TOTO(株)
とーとー
水回りを中心とする住宅設備機器メーカー。衛生陶器、水栓金具では圧倒的シェアを占める。1917年(大正6)森村市左衛門、大倉孫兵衛ら森村組関係者により、北九州市小倉(こくら)に東洋陶器として設立され、衛生陶器や食器の製造を開始した。第二次世界大戦後は、まず米軍住宅用特需が殺到、1950年代後半以降、住宅団地建設、下水道整備、ホテルやビル建設などで衛生陶器の需要が急増、一方、水栓金具も工場を新設して量産に努めた。浴槽や洗面化粧台の生産も開始して、1969年(昭和44)には商標をTOTOとし、翌70年に社名を東陶機器と改め、食器部門を廃止した。1980年代に入り、成熟化した住宅市場に対応し、新商品の開発を進めた。「ウォシュレット」(温水洗浄便座)の発売をはじめ、超節水型便器、システムキッチンなどの新製品を相次いで発売、製品のエレクトロニクス化や多機能化も推進した。1980年代以降、アジアを中心に合弁会社による衛生陶器や水栓金具の海外生産を開始、アメリカや中国にも進出、現地生産を行っている。2007年、TOTOに社名変更した。資本金356億円(2008)、売上高3920億円(2008)。
[中村青志]
『東陶機器株式会社編・刊『東陶機器七十年史』(1988)』▽『東陶機器株式会社編・刊『Kokura ware――もう一つのTOTO社史』(2001)』