改訂新版 世界大百科事典 「ARAMCO」の意味・わかりやすい解説
ARAMCO (アラムコ)
アラビアン・アメリカン・オイル社Arabian American Oil Co.の通称。サウジアラビアに広大な鉱区を所有する世界最大の産油会社。1933年,アメリカの石油メジャーであるスタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア社(通称ソーカル,84年シェブロンと社名変更,2001年テキサコと合併してシェブロン・テキサコ社になる)がカリフォルニア・アラビアン・スタンダード・オイル社California Arabian Standard Oil Co.として設立したことに始まる(なお,ソーカルは1936年テキサコ社に利権の半分を与えて共同でカルテックス社Caltex Petroleumを設立)。44年に現社名に変更。その後,48年に油田開発とパイプライン敷設の資金を獲得するために,エクソン社とモービル社の出資を認め,資本構成が,ソーカル30%,テキサコ30%,エクソン30%,モービル10%となった。ダンマン,アブカイク,ガワールなどの油田で生産された原油の大半は,ペルシア湾のラス・タヌーラと東地中海のシドン港(シリア)から積み出されている。また,ラス・タヌーラには精製能力42万バレル/日の製油所をもっている。72年にリヤードで締結された参加協定(リヤード協定)により,73年1月にはサウジアラビア政府が25%の参加を行い,74年6月には60%参加の暫定協定が1月にさかのぼって実施された(これに伴い,各社の持分はソーカル,テキサコ,エクソン各11.33%,モービル6%に変わった)。さらに,79年に実施されたサウジアラビアによる完全国有化は1976年に遡及(そきゆう)して行われることで合意された。
執筆者:熊坂 敏彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報