広くは,複数の人が直接・間接に財産関係に関与している場合,その各人が有する割合的権利または地位をいう。従来,一般に次の二つに大別するが,(2)の意味での持分は必ずしも社団法人,つまり法人格がある団体(各種の会社,協同組合など)の構成員にのみ特有なものではなく,法人格がない団体(権利能力なき社団など)の構成員にもほぼ同様に認められるものである。
(1)共有関係における持分 共有において共有者各自が共有物に対して有する権利。1個の所有権の数量的一部分。持分権ともいう。量的には部分的所有権であるが,質的には1個の所有権と同じである。したがって,その効力・保護に関しては,普通の所有権と同じ取扱いをうける。また,このような権利の割合,つまり,1個の所有権の数量的割合のことも持分といい,持分の割合ともいう。これは,法律や共有者間の契約などできまるが,これらによってきまらない場合は,相等しいものと推定される(民法250条)。共有者各自の共有物についての使用収益や管理費用などの負担をきめる標準とされる(249,253条)。
執筆者:玉田 弘毅(2)社団法人における持分 社団法人にあっては,構成員たる社員の持分は,社員が社員としての資格において法人に対して有する法律上の地位を意味し,社員の各種の権利義務の基礎となるものである。また,社員の持分は,経済的には社員が法人の財産について有する分け前を示す計算上の数額を意味する(商法89条など参照)。協同組合の組合員や合名・合資会社社員の持分は,出資の多少を問わずそれぞれ1個である(単一持分主義)。有限会社社員の持分は,細分化された割合的単位の形をとり,社員は出資1口ごとに1個の持分を有する(複数持分主義)。なお,社団法人のうち株式会社における持分は株式と呼ばれる。
→株式 →共有 →組合
執筆者:青竹 正一
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共有関係における共有者の持分と、社団法人の構成員の持分とがある。
共有物について各共有者が一定の割合で有する権利(持分権)、もしくはその割合自体をいう。その割合は契約または法律の規定によって決定されるが、不明確な場合には各持分は相等しいものと推定される(民法250条)。共有者は持分の割合に応じて使用収益できるし(同法249条)、持分権を他人に譲渡することもできる。
[高橋康之]
合名会社・合資会社・合同会社の社員、協同組合の組合員、特殊法人の出資者などの持分で、これには、社員または組合員たる地位すなわち社員権をさす場合(持分の譲渡―会社法585条)と、社員または組合員が法人の財産について有する分け前を示す計算上の数額をいう場合(持分の払戻し―同法626条)とがある。株式会社の株式に対応する概念である。
[戸田修三・福原紀彦]
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…これは,その後,フランス民法,ドイツ民法などに継受されて,日本民法に及んでいる。したがって,日本民法でも,共有は暫定的・経過的なものとされ,各人は,目的物のうえに有する所有権の数量的一部としての持分権(単に持分ともいう)を自由に処分でき,また,いつでも共有を解消できるとされる。 共有については民法249条以下に種々の規定が置かれている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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