結合組織を構成する細胞の一つ。脂肪細胞は脂肪組織にとくに多い。核は,細胞のかたすみに圧平され細胞体内に大きい脂肪滴を含み,径約50μmに達する。ヘマトキシリン・エオジン染色では,標本作製に際して有機溶媒に脂肪が溶けるために明るくぬけて見える。電子顕微鏡で見ると,細胞体のほとんど全部を占める脂肪滴が特徴的で,その間に少量の粗面小胞体,ミトコンドリア,貧弱なゴルジ装置がみられる。飢餓に陥ると脂肪がなくなり,繊維芽細胞と似た細胞になってしまうが,脂肪細胞の母細胞は一般の繊維芽細胞ではなく,特別に脂肪細胞に分化すべく運命づけられた細胞と考える人が多い。脂肪芽細胞という名称もあるが,細胞の形態だけから脂肪芽細胞と繊維芽細胞を区別することはできない。
脂肪細胞のまわりは細網繊維が囲んでいることが多い。この繊維は脂肪細胞ないし脂肪芽細胞が形成したものである。皮下や腹壁などの脂肪組織に脂肪細胞が増加し,かつそれぞれの細胞が大量の脂肪滴を蓄えると肥満が起こる。逆に,飢餓に陥ると脂肪細胞の脂肪滴は減少ないし消失する。
執筆者:藤田 尚男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…肥満者はこの満腹中枢の感受性が低いために,満腹感が少ないことによって過食になることが原因であるとする説である。(2)インシュリン過剰分泌説 膵臓から出るホルモン,インシュリンは,脂肪をつくったり,血液中の脂肪を脂肪細胞の中にとり込んだり,いったんたまった脂肪を分解しにくくする等の脂肪蓄積作用がある。このインシュリンが肥満者においては過剰に分泌されているという考え方である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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