小さな力で重いものを動かす梃子(てこ)の作用(レバレッジ)のように、少額の元手(証拠金)でその数倍から数十倍の額の株式などを売買して差益をねらう取引。現物を売買するのではなく、売買した結果で発生する差額分をやり取りするので差金決済取引Contract for Differenceとよばれ、その頭文字をとってCFDと略称される。インターネットを通じて取引されることが多い。外国為替(かわせ)相場を対象に売買する外国為替証拠金取引(FX)と似通った仕組みで、大きくもうけることもできるが大損するおそれもあるハイリスク・ハイリターンの商品である。売買対象は株式のほか株価指数先物、債券先物、金、原油などの商品先物と幅広い。近年、日本でも急速に取引が膨らんでおり、金融庁は個人投資家保護のため、証拠金を取引業者の資産と分けて管理するなどの規制強化に乗り出している。
CFDの仕組みは、たとえば株式を100万円購入する場合、元手となる証拠金の10倍の取引が可能(レバレッジ率10倍)ならば10万円の証拠金を差し入れるだけで取引できる。株価が20%上昇すると、上昇益(20万円)から証拠金を差し引いた10万円が利益になるが、逆に株価が10%以上下落すると証拠金ではまかなえず、損失が発生する。株式の信用取引と同様に、「売り」から入ることも可能である。現物株を所有する必要がなく、手軽に売買できるが、レバレッジ率が高くなると、損失が巨額に膨らむ危険性もあるため、証拠金が一定額より少なくなった場合、自動的に取引を停止する取引が一般的である。ネット取引によるシステムダウン・リスクや、外国株や外国債券に投資した際の為替差損リスクなどを伴う。
1990年代にイギリスで取引が始まり、現在、アメリカ、オーストラリアなど世界約70か国で取引されている。アジア諸国の普及率はまだ低く、日本では2005年(平成17)、ひまわり証券が初めて取引を開始した。
[編集部]
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出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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